【ストークス通信⑨】若きストークス戦士たちのデビュー戦 西宮ストークスJr. 始動

 Bリーグ1部の西宮ストークスは、ジュニア世代の育成と強化を目的に、中学1年生から3年生を対象としたユースチーム「西宮ストークスJr.」をこのたび設立。複数回にわたるトライアウトで選抜された10人の選手で構成するチームは、8月1日から3日の3日間、大阪市で開催された「B.LEAGUE U15 CHAMPIONSHIP 2017」に出場した。

会場の府民共済SUPERアリーナ

 「B.LEAGUE U15 CHAMPIONSHIP 2017」は、今回が記念すべき第1回大会。Bリーグに所属するクラブが運営しているU15(15歳以下)の15チームが全国から一堂に会し、4組に分かれた予選リーグと決勝トーナメントで優勝を争う。大会全体のテーマ「世界への第一歩が ここから始まる。」が表す通り、将来の日本バスケ界を担う15歳以下のカテゴリーにおいて、いずれ世界で通用する選手の輩出に向けた、育成強化の機会でもある。

 

 西宮ストークスJr.は主に兵庫県内の中学生で結成され、県選抜クラスの選手も複数いる。チームを率いる和田竜三朗ヘッドコーチは「ビッグマン(長身選手)あり。スピード豊かな選手あり。極めて個性豊かなメンバーがそろった」とチームを評する。チームを結成してから1カ月未満ということで、これまでの全体練習はわずか3回。「おたがいの連携がまだ確立されていないという前提ではあるが、この3日間でコミュニケーションと課題解決を図り、チーム全体の結束と成長を促したい」との思いで、この大会に臨んだ。

和田ヘッドコーチは現役時代、松下電器(現パナソニック)でキャプテンを務めるなど、2007年の引退まで第一線で活躍した

 

 

 

 

 

 

 

 

 「U15横浜ビー・コルセアーズ」「信州ブレイブウォリアーズU15」「三遠ネオフェニックスU15」の3チームと同組となった予選リーグは、ときおりトップチームのスタイルを彷彿とさせるような堅守速攻をみせるなど、堂々とした戦いぶりで2位通過(2勝1敗)を果たした。特に際立ったのは、188センチの長身で兵庫県選抜にも選ばれている森山陽向(ひなた)選手のゴール下での存在感。競り合いにも当たり負けしない圧倒的なフィジカルで、ゲームの制空権をつかんだ。同じく兵庫県選抜の、大惠陸人選手の鋭い突破も随所で光った。幾度となく相手コートまで切り込み、チャンスメークに汗をかいた。

 

テレビのインタビューを受ける大惠陸人選手
特筆すべき高さと強さを持つ森山陽向選手
大久保知泰選手。「全国のレベルと自分のレベルを、この大会で照らし合わせることができた」と振り返ってくれた

 その後の順位決定トーナメントでは惜しくも連敗し、結果は参加15チーム中8位。連携不足が否めない場面も垣間見られたが、それでも和田ヘッドコーチは「それぞれの個性を選手同士がおたがい尊重しながら、つなげあわせていくという姿勢がコート上で見られたのは収穫」と、選手の意識とフォアザチームの頑張りを評価した。

 メンバーの一人、大久保知泰(ちひろ)選手は「自分よりもうまい選手がいてすごく刺激になる。結成されて間もないが、みんな仲が良く、ハイレベルな環境でバスケができるのが楽しい」と西宮ストークスJr.でプレーする魅力を語った。西宮市内の中学に通う3年生。「ストークスもB1に昇格してくれた。よりレベルの高いゲームをすぐ見に行けるようになったのでうれしい。道原紀晃選手のプレースタイルが好き。将来はプロ、その先のNBAを目指して頑張りたい」と力強く答えた。

 

 西宮ストークスJr.は、将来のBリーガー、さらには将来、西宮ストークスで活躍できる選手の「候補生」を育成するために、歩みを始めた。和田ヘッドコーチは「プロのクラブが運営するU15では、より高い目標にベクトルを合わせて一丸となって取り組める。選手には、より高度なグループ戦術と幅広い判断力を身につけさせたい。この世代は何よりも“吸収力”の高さが半端ではない。コーチの力量によって、まったく成長度合いが違ってくるので、私も責任重大です」と、今後の指導とチームのレベルアップに意気込む。

 

 西宮ストークスJr.選手の雄姿は、今後Bリーグが主催する各種カップ戦のほか、西宮ストークス主催のホームゲームの前座試合でも見ることができる。底知れないポテンシャルと個性を秘めた選手たちの連携が深まれば、いったいどんなチームに大化けするのだろう。トップチームのゲームはもちろん、若いコウノトリたちの成長ぶりも、2017-18シーズンを通じての楽しみになってきた。(伊藤真弘)




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