第2回 「未来よ こんにちは」&「息の跡」
人生、いかに生きるべきか 

 

 〈〈お読みになる前に〉

1.すべて個人の感想および妄想(?)です。

2.時々、大阪弁が含まれます。アレルギーをお持ちの方は、この機会に克服したらエエんちゃう? 

3.まれに調子に乗り過ぎて、わけのわからん「なにこれ」原稿になっている場合がありますが、反省はしません。本人はすこぶる上機嫌なので、知ったこっちゃありません。 

4.お叱りは受けつけません。傷つきます(笑)。

 

 すんません! 第1回から、ずい分と日があいてしまいました。というわけで、今回は2本あわせて、どうぞ。

 

 40過ぎたら女はゴミ? 人生半ば過ぎ、哲学してみる?

「未来よ こんにちは」

 「40歳を過ぎたら女はゴミね」――とは、夫は浮気相手のもとへ、子どもたちも独立、いきなり“おひとり様”になってしまった主人公のセリフ。名優イザベル・ユペール演じる主人公の職業は、おフランスはパリにある高校の哲学の先生。高校生が哲学って、やっぱヨーロッパやなぁ、授業ボイコットにデモが続いているのはさもありなんってことですかねェ、なんて思いながら見ていると、卒業した教え子の中には、“過激”にアナキストを名乗る若者も。

「私たちも戦ったのよ」

「いや、生ぬるいです」

 世代間ギャップに戸惑いつつも、哲学と教職への熱意は変わらずながら、相方には去られるわ、老い衰えた一人暮らしの母親の世話もあるわで、人生半ばを過ぎて、なんやの、この踏んだり蹴ったりは。

 人生、いかに生きるべきか。あらためて、まさに哲学的な問いを突きつけられたミドルエイジの主人公に、シンパシーを感じるのは女性だけでなく、男性だって身につまされるはず。その彼女がいかに人生の危機を乗り越えていくか、ちりばめられたいろんな哲学者、思想家の深いコトバとともに、静かに描いてゆくのです。

©2016 CG Cinéma • Arte France Cinéma • DetailFilm • Rhône-Alpes Cinéma

 さてさて、ここでわが身に引き寄せれば、高度経済成長とともに育った人間が言うのもなんですが、「哲学」ならぬ「実学」、戦後のこの国は、それ一辺倒に過ぎたのやも、なんて思ったりします。人生、まずもって大切なのは、読み書き算盤(そろばん)。哲学なんぞ、思想なんぞ、数学や物理学と同じもん、生きるに何の役に立つ。それが今もって、世の人々の本音ではないのかしらん。否、誰しも生き急がされているかのような今は、なおのことかもしれません。

 ならばこそ、哲学とは言わずとも、ちょっと立ち止まって、我が身の来し方行く末に、想いをはせてみるのもいいかも。いや、小難しい映画では全然、ありません。齢50代半ばのオレも、未来へとゆっくりと踏み出していく主人公の姿にしみじみ、感じ入ったのでありました。

 なんやエラそーに、実学で生きてきたんちゃうんかいなってツッコミ、待っておりました。オレなんぞ、子どもの頃に算盤教室に通っていたのに、ゼニカネ勘定はいまだに苦手。だからお金は身につかない(笑)。といって、哲学してたわけでもなしって、何してたんや、お前は――おお、ミドルエイジクライシス!

 

絶対にあきらめない。なにが彼を駆り立てるのか

「息の跡」

 んで、もう1本は、東日本大震災の惨禍を目の当たりにした人の、ドキュメンタリー。岩手県は陸前高田市。震災後、東京から移り住んだという小森はるか監督は、すべてを失い、それでも生きていこうとする一人の男性の姿を、追います。

 職業は、農産物の種や苗を売る店のご主人。国道なのか、海辺の幹線道路沿い、車がひっきりなしに通る場所。その意味ではにぎやかさが戻り、でも津波に根こそぎにされた寒々しい風景の中にポツネンとたたずむ店は、否応もなく、今も震災のただ中に、あるのです。

©2016 KASAMA FILM+KOMORI HARUKA

 その人、佐藤貞一さんは、流された店をプレハブで再建し、あの震災を、発信し続けています。独学の英語で、自費出版本も出しました。なにが彼をそうさせるのか、駆り立てるのか。

「一生懸命に、生きている」

「復興の先駆けになる」

「絶対にあきらめない」

「何もかもなくなったけど、魂がある」

 自らを鼓舞しているかのようなコトバの端々に、おそらくは、自らを追い込むことで、生きている、生きてある。その姿に、なに思う、なに思わんや。

 ただただ、道路を行き交う車の音が、妙に今も耳の奥にこびりついて、ある。それがリアルな今なれば、この人の耳にはどう響いているのだろう、なんて考えるにつけ、想いは千々に乱れて、収拾がつきませんです。哲学だの、実学だの、ミドルエイジクライシスってか。それがなんやっちゅうの――って気もして。

(岡井哲弥)

 

〈公開情報〉

 「未来よ こんにちは」は3月25日(土)からシネ・リーブル梅田、4月8日(土)から京都シネマ、同22日(土)からシネ・リーブル神戸で公開。

 「息の跡」は3月11日(土)から第七藝術劇場、同18日から(土)から神戸アートビレッジセンター で公開。

※情報は執筆当時のものです。事前にご確認の上、お出かけください。終了してても知りません(笑)。

 

〈筆者につきまして〉

主に朝日新聞の「アリーナ」映画面の執筆をしております。そもそも「朝日ファミリー」で映画担当になって……んっ、四半世紀ってか。んなオヤジのデジタルデビュー、好き勝手に書かせていただきますが、温かく見守ってやってくださいまし。

 




※上記の情報は掲載時点のものです。料金・電話番号などは変更になっている場合もあります。ご了承願います。
カテゴリ: 映画好っきゃねん!

関連記事