「彼女の人生は間違いじゃない」今もあの震災の只中にいる人たち

 

「映画好っきゃねん!」
第4回 「彼女の人生は間違いじゃない」

〈お読みになる前に〉
1.すべて個人の感想および妄想(?)です。
2.時々、大阪弁が含まれます。アレルギーをお持ちの方は、この機会に克服したらエエんちゃう?
3.まれに調子に乗り過ぎて、わけのわからん「なにこれ」原稿になっている場合がありますが、反省はしません。本人はすこぶる上機嫌なので、知ったこっちゃありません。
4.お叱りは受けつけません。傷つきます(笑)。

 

今もあの震災の只中にいる人たち
 やっぱり、この人はスゴイ。「さよなら歌舞伎町」の廣木隆一監督最新作。
あの震災で甚大な被害を受け、今も放射能汚染の影響から逃れられない、福島県いわき市。主人公のみゆきは、その市役所の職員です。でも、彼女には別の顔がありました。週末になると、もう一つの仕事のために、高速バスに乗り込むのです。向かうは東京。職業、デリヘル嬢――。

© 2017『彼女の人生は間違いじゃない』製作委員会

 心の中に、何かが棲みついている、へばりついている。引きずり出そうにも、引っぱがそうにも、どうすればいいのかわからない。母親は津波にさらわれ、今も見つかっていません。農業を営んでいた父親は、補償金をパチンコに注ぎ込む日々。その父親と2人、いまだに仮設住宅暮らし。先が見えずにもがいている一人の女性の心情を、ふとした表情や後ろ姿、何気ないしぐさの中に、廣木監督は描き込んでいきます。それに応えた主演の瀧内公美から、目が離せません。あまりに、切ない。

 光石研が演じた父親も、喪失感にさいなまれています。ネタバレになるので書きませんが、原発の海に船で向かうシーンは、涙なくして見られません。心にわだかまりを抱えながら生きている、様々な人たちをクロスさせながら、“震災後” を直視する、いや、おそらくは今も、震災の只中なのだと。打ち捨てられた田畑や街並みの寒々とした、そして遠くにくっきりと浮かび上がる原発のある風景と、たとえば仮設住宅での日常描写の説得力。ドキュメンタリー作品かと思わせる、その冷徹な視線の先、人間を徹底的に凝視する、その先に見えるのは何なのか。見る者に問いかけてくるのです、これ、どないやねんって。
(岡井哲弥)

〈公開情報〉
 7月15日(土)から、テアトル梅田、京都シネマ、シネ・リーブル神戸で公開。【R15+】※情報は執筆当時のものです。事前にご確認の上、お出かけください。終了してても知りません(笑)。

© 2017『彼女の人生は間違いじゃない』製作委員会

〈筆者につきまして〉
主に朝日新聞の「アリーナ」映画面の執筆をしております。そもそも「朝日ファミリー」で映画担当になって……んっ、四半世紀ってか。んなオヤジのデジタルデビュー、好き勝手に書かせていただきますが、温かく見守ってやってくださいまし。




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