私たちの体をよく知るために(3)~女性ホルモン分泌の“ゆらぎ”と大豆の関係とは?

【大塚製薬プレスセミナー「女性の健康セミナー in 大阪」採録3】

(写真提供=大塚製薬)

 

 近畿大学東洋医学研究所所長・教授で東北大学医学部産婦人科客員教授の武田卓(たかし)さんの講演「女性ホルモンと女性の健康・診療の実際」の最終回は、女性ホルモン(エストロゲン)分泌の“ゆらぎ”と大豆についてのお話だ=写真

 

 

■大豆イソフラボンの代謝物エクオールに注目

 いくつかの疫学的なデータから「大豆は女性の体にいい」といわれる。

 例えば、心臓病による死亡率は欧米人女性より日本人女性が少ない○骨粗鬆症による大腿骨骨折率は、日本人女性は米国人女性の半分○乳がんによる死亡率も、日本人女性は米国人女性の約4分の1○米国の更年期女性の半数にホットフラッシュの症状があるが、日本人女性には少ない――などであり、これらエストロゲン欠乏に関連する疾患の発症率の差は、日本人と欧米人の大豆摂取量の差によると考えられている。

 大豆に含まれるイソフラボン(ダイゼイン)は腸内細菌の働きによって、その代謝物エクオールを生合成する。エクオールは、エストロゲンに似た働きをするといわれるが、その活性度は、エストロゲンの100分の1から1000分の1程度と少ない。しかも、大豆製品を食べたとしても、体内でエクオールを作れる人と作れない人がいることがわかってきた。作れない人は、大豆の効果が十分に発揮できないことになる。

■日本人のエクオール産生能力は、中高年女性>若年女性

 ある調査によると、大豆を食べて体内でエクオールを作れる人は日本人で約50%、欧米人では約30%だ。同じ日本人でも、中高年女性の51.6%に対して、若年女性は20.4%と、若年層で作れない人が増えてきている。食生活の変化が関与している可能性が疑われる。

 一方、PMS(月経前症候群)の重症度を見ると、日本人よりも欧米人が重く、成人女性よりも高校生が重いというデータがある。これが食事の影響を受けていると考えるならば、大豆摂取量とエクオールを作る能力とPMS重症度は裏返しの関係にあるといえそうだ。さらに、私の最近の研究からは、エクオールを作れない人が、PMSのリスクが2.4倍も高いことがわかった。また、女性アスリートにおいて、PMSによるパフォーマンス障害を検討すると、エクオールを作れない人は、障害のリスクが3.3倍も高いことがわかった。

 今後、エクオールとプラセボ(偽薬)を比較して投与する臨床試験をする必要があるが、PMSの症状を改善するのにエクオールが有効という仮説が正しいことが証明されることを期待したい。

(会場からの質問)会場から「エクオール産生能力があるかどうかは、どうやって調べるのか?」という質問が出た。武田さんは「大豆食品を食べた後、採尿して尿中のエクオール量を測定して調べる。最近は測定キットも市販されている」と答えた。




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カテゴリ: AFメディカル

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