プログラミング教育の親子セミナー「子どもたちが真に取り組むべき学びとは」(主催:アサヒ・ファミリー・ニュース社、協力:株式会社アップ レゴ(®)スクール)が昨年12月10日、豊中市のアクティブ・ラーニング・スタジオ ホールと西宮市の進学館西宮北口校で開かれた。両会場合わせ、5歳から小学4年までの子どもと保護者、44組109人がロボット・プログラミングの実習を楽しみながら、これからの時代に求められる教育の理想像を体験した。

2020年度から小学校での必修化が決まり、注目されているプログラミング教育に一足早く親しんでもらおうと企画。小中高生の国際的なロボットコンテスト「WRO Japan 2017」技術委員長の吉野和芳さん(神奈川工科大学教授)が来場し、プログラミング教育によって子どもたちにどんな力が身につくのか、周囲の大人たちはどのようなことを意識するべきかなどについて講演した。

話では、2020年に予定されている大学入試改革にふれ、従来重視されてきた知識・技能に加え、今後は知っていることをどう使うかといった思考力や判断力、表現力がさらに求められると紹介。主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度が大切になるとして、そのために物事や思いを正しい順序でわかりやすく、正確に相手に伝える「説明力」の重要性を指摘した。動作順序を考えて、説明する力がなければ動かすことができないロボットのプログラミングは、これからの時代に求められる“真の学力”を伸ばす上で役に立つと話すと、保護者たちは熱心に耳を傾けていた。

子どもたちは世界的知育玩具メーカー「レゴ社」が開発したロボット教材「レゴ(®)マインドストーム」を使ったロボットづくりに挑戦。大きさや形状が違う4種類のタイヤを組み合わせ、それぞれの回転数や出力をタブレットの画面から打ち込んでプログラムを調整し、ゴールまでいかに早く走らせ、スムーズに止めることができるかを競い合った。直径が大きいタイヤは少ない回転数でゴールにたどり着く一方、小さいタイヤは出力数を上げて回転を増やさないといけない。また回転数を増やしすぎるとゴールを行き過ぎてしまい、少ないと途中で止まってしまう。子どもたちは床にロボットを置き、何度も走らせては数値を増減。最後はほぼ全員が見事、ゴールに達していた。

吹田市から参加した小学2年の男子は「思い通りに走らずに大変だったけど、いろいろ考えながらやるのが楽しかった。またやってみたいです」と満足そう。西宮市の小学1年生の父親は「遊びと学びの境界線がなく、子どもたちも楽しんでやっていた。説明もわかりやすく、大人も引きつけられました」と感心していた。
吉野氏は「親は“質問者”になって、子どもたちが正しい説明ができるように導いてあげてください。そのためには小さいうちにいろんな経験をさせてあげてほしい。今日は子どもたちも熱心に取り組んでくれて、私も楽しかったです」と話していた。
