【まなびタイムトリップ】Vol.15 武庫川女子大学附属中学校・高等学校 校長 藤原邦彦先生

諦めることで見つかった 自分の進むべき道

 4人兄姉の末っ子で、勉強嫌いな子どもでした。成績が良かった兄や姉に対し、劣等感を抱いたのは中学の頃から。理科や数学がさっぱりわからなくなり、「医者になって無医村で働きたい」「建築家もええな」などと思い描いていた夢が、一つずつ消えていきました。

 そんな私が「先生になろう」と決めたのは高校3年の時。担任だった30代半ばの男の先生に憧れたのです。先生はいつも、名前を呼び捨てにせず「藤原くん」と呼んでくれたのですが、それがとても新鮮で。上から目線ではなく、一人の人格を持つ人間として接してくれるのが励みになったんですね。

 先生と同じ社会科の教師を目指したのは、中学の時に読んだ島崎藤村の小説「破戒」の影響が大きいと思います。この本を読み、初めて世の中の差別や偏見を知りました。当時、東京の大学に進学していた兄が学生運動に関わっていたこともあり、社会の問題に目が向き始め、「世の中の不条理を何とかしたい。そのために、教育の世界に進みたい」と考えたのでした。

 私は勉強もスポーツもそこそこできたらそれ以上に究めるタイプではなかったので、中途半端な思春期を過ごしたという思いがあります。だから今、何かに懸命に取り組んでいる人に憧れますね。ただ私の場合、勉強は苦手でも、好きだった読書を楽しむうちに社会への関心を抱き、教育の道に進むことができました。「これは自分に向いていない」とわかれば消去法で諦め、他のできることに取り組むのも一つの方法だと思います。焦らずに!

 

   

武庫川女子大学附属中学校・高等学校 校長 藤原邦彦(ふじわら・くにひこ) 先生

1947年兵庫県生まれ。兵庫県立神戸高等学校、慶應義塾大学法学部を卒業後、武庫川女子大学附属中学校・高等学校で社会科教師に。2011年4月、同校の教頭に就任。13年から現職。

 

 

 

 

【学校データ】

創立1939年 生徒数:中学738人、高校1,177人(2015年6月現在) 教育目標:「社会に貢献できる女性の育成」 06年から現在まで、文部科学省スーパーサイエンスハイスクール指定校

※2015年7月掲載




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カテゴリ: まなびタイムトリップ

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