38年間ものまね一筋のコロッケが本名・滝川広志で挑んだ初主演作「ゆずりは」が必見の理由とは?

 ものまね芸人として人気のコロッケが、初めて本名の滝川広志を名乗り、一切の笑いを封印して挑んだ初主演映画「ゆずりは」が6月16日(土)から公開される。

記者会見には、いつものコロッケのメイクで登場した滝川広志=6月5日、天王寺のアポロシネマで

 6月5日に大阪で開かれた記者会見で、「人よりも前に出て、いかに面白い動きで笑いをとるかに38年間命を懸けてきた人間が、加門幾生監督の『余計なことはしないでいい』という言葉を信じたことで、役者への扉を開いていただいた。監督のお陰で、役者・滝川広志が見えてきた」と話した。

 原作は新谷亜貴子さんが2013年に上梓した同名小説「ゆずりは」(銀の鈴社)。年間を通じて緑の葉を宿す「ゆずりは」は、春に若葉が出た後、前年の葉がそれに譲るように落葉することからその名がある。このゆずりはがシンボルツリーとして中庭に植えられている地方都市の葬儀社を舞台に、送る人と送られる人、その葬儀を仕切る人たちの様々な人間ドラマが交錯する。滝川が演じる水島は、この葬儀社の営業部長。冷静沈着な葬儀のプロだが、社員募集の面接にやって来た茶髪にピアスの高梨歩(柾木玲弥)の採用を松波社長(勝部演之)に具申する。

高梨歩役の柾木玲弥(©「ゆずりは」製作委員会)
「ゆずりは」の1シーン(©「ゆずりは」製作委員会)

 「映画のベースは新入社員・高梨の成長物語なので、僕よりも高梨が主役に見えたら成功なんです。高梨が動で、僕が静で、映画が成り立っている。撮影中に僕の横にいたエキストラの人が『コロッケさんはどこ?』と僕に聞いてきたので、うまくやれているのかなと……」

 エピソードとして登場する三つの葬儀の合間に、感情を表に出さない水島部長の過去の出来事が明かされ、物語がさらに立体的に膨らみ始める。

 

 「多くを語らない水島という男は、実は昔の日本人男性に多かったタイプの人間ではないかと思う。ロケ前日の夜中に東京を出て、ロケ地の千葉県八千代市のビジネスホテルに3週間泊まり込んだ。東京に戻るとコロッケになっちゃうから、サンダルにジャージ姿でスーパーへ行ったりして、水島という男になりきろうとした」

 そうして創り上げた水島という人物像にふさわしい声も自分の中で決めた。

 「水島の声は倍音。少し響く声にした。役によって声もいろいろ変えられるのは、ものまねタレントとしての僕の強みでしょう。すべて演じ終わった後に、もしかしたら、ものまねの新ネタを作っている時、その作業に没頭して入り込んでいる自分は、水島と似ているのかもしれないと思った」

ゆずりはの木を見上げる(左から)高梨(柾木)、水島(滝川)、松波社長(勝部演之)©「ゆずりは」製作委員会

 撮影中、テイクは一切確認しなかった。初めて試写会で見た時は3回ほど涙が出たという。「思った以上にアップの映像が多いのに驚いた。自分で決めることではないが、この作品はパート2ができるのではないかと思う。葬儀は千差万別で、山のような物語があるから」

 

 記者会見で一番大きな笑いが出たのは、コロッケを封印して初主演を受けた経緯を話した時だった。

 「監督とプロデューサーからオファーを受けた時、『この役は僕じゃないのでは?』と何度も聞いた。それでも何度も『お願いしたい』と言われ、断る理由もなかった。コロッケとして演(や)らない作品だから、もしかしたらドッキリではないかと疑ってカメラの位置を『あそこかな?』と目で探したりもしたが、話が終わっても誰も出てこない。そこで初めて自分の中で『これは大ごとだ』と思った」

 滝川広志の力量を見抜いて起用した加門監督は、とんでもない役者を世に送り出したのかもしれない。

 

 【上映情報】6月16日(土)から第七藝術劇場、神戸国際松竹、アポロシネマ、イオンシネマ桂川で公開。公式ホームページ http://eiga-yuzuriha.jp/




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