7/21~公開! 傷だらけで苦しくもまぶしい思春期の日々を描く映画「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」

 ありのままの自分をすんなり許容できなかった10代のころを思い出させる、傷だらけで苦しくもまぶしい思春期を描いた映画「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」(湯浅弘章監督作品)が公開中だ。

©押見修造/太田出版 ©2017「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」製作委員会

 言葉がうまく話せない志乃(南沙良)、ミュージシャン志望なのに音痴な加代(蒔田彩珠)、おどけ者を演じるキャラクターが空回りして友人ができない菊地(萩原利久)。海辺の町を舞台に、新しい出会いが待つ高校に進学した少女2人と1人の少年の日々が淡々とつづられる(ロケ地は静岡県沼津市)。

 

岡崎加代(蒔田彩珠)©押見修造/太田出版 ©2017「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」製作委員会
大島志乃(南沙良)©押見修造/太田出版 ©2017「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」製作委員会
菊地強(萩原利久) ©押見修造/太田出版 ©2017「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」製作委員会

 

 

 

 

 

 移ろう季節は春から夏、そして秋へ――。小さな気持ちのすれ違いや、素直な自分を出せない苦しさの中でぶつかり、揺れ動く、3人の気持ち……。見ているうちにスクリーンに向かって思わず「この日々が、かけがえのない日々だったとわかるのは、ずっと後になってからなんだよ」とおせっかいな言葉をかけたくなるほど、志乃も加代も菊地もいとおしい。

 映画の原作は人気漫画家・押見修造が描いた同名の漫画だ。2011年12月~12年10月に太田出版WEB連載空間ぽこぽこに連載され、大きな反響と感動を呼び、その後単行本化され、ロングセラーとなっている。

 話そうとすると言葉がうまく出てこない難発の吃音で、特に母音からの発音が苦手という志乃の設定は、原作者の押見の実体験をもとにしているが、漫画作品の本編では「吃音」「どもり」という言葉は使われていない。押見はその意図を「誰にでも当てはまる物語になれば」と思ったからだと原作本のあとがきに記した。その思いに共感した湯浅監督も、映画の中で意図的にそれらの言葉を使わず、誰もが共感できる思春期の葛藤を描く作品に仕上げた。

 

 だが、吃音についてより多くの人が正しく理解することは、当事者が生きやすい環境を社会に作る原動力になると思う。実は筆者は、このサイトに 7月7日に公開した、吃音の子を持つ親たちの手記を集めた本を編んだ堅田利明さん の取材を進めていたころ、本作が7月に公開予定と知った。それだけに、この映画を見た人にも、吃音についての正しい理解に関心をもってもらえたらと願ってやまない。(季)

 

【上映情報】シネ・リーブル梅田で上映中。シネ・リーブル神戸は7月28日(土)から、京都シネマは8月18日(土)から公開。

 

「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」公式ホームページ http://www.bitters.co.jp/shinochan/




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