冬ならではのご馳走、ぼたん鍋を味わう
【へき亭】京都府亀岡市

関西・オンナの美酒佳肴

 

冬ならではのご馳走、ぼたん鍋を味わう

【へき亭】京都府亀岡市 

 

 寒さが厳しくなるこの季節の楽しみといえば「ぼたん鍋」だ。京都府の猪(いのしし)の猟期は11月15日から3月中ごろまで。今だけの味を求めて、毎年、亀岡市にある「へき亭」に出かけることにしている。へき亭は、この地の代官の家柄、日置(へき)家の居宅で、江戸時代に建てられた母屋で料理をいただくことができる。

 

猪コース
猪コース

 

 猪コースの前菜は、自家製胡麻(ごま)豆腐と鶏の生ハムが登場。陶板焼きの猪肉が焼けるまでビールのあてにつまむ。ほどなく香ばしい香りが漂って、陶板焼きが出来上がる。粉山椒(さんしょう)を少しふりかけて口に運ぶと、少しの刺激と淡泊な肉のうまみが広がる。罠(わな)猟で捕獲した猪肉は、猟師の技によって、素早く処理される。だからジビエ特有の臭みはない。
 そうこうするうちに、ぼたん鍋が煮えてきた。昆布ダシに地元産の合わせみそを加え、たっぷりの地野菜と猪肉をぐつぐつ煮込む。煮込むほどに軟らかくなるのが猪肉の特徴。野山を駆け回り、天然のキノコや木の実を食べて育った猪の肉はなんともたまらない。

 

人参が名物の煮物
ニンジンが名物の煮物

 

 へき亭の名物のひとつが、炊き合わせのニンジン。冬は九州、夏は北海道から取り寄せる大きなニンジンだ。作り方を聞くと、まず湯がいて、昆布とカツオ、塩味のダシを煮含める。20分煮たら翌日までおくことを繰り返して3日間かけてゆっくり味をしみこませる。ニンジン特有のツンとする香りは消えて、とにかく甘さだけが強くなるのだ。

 

築300年以上経つ武家屋敷
築300年以上経つ武家屋敷

 

 食事が終わったら建物の内外を見て回ろう。300年以上の歴史を刻む母屋の玄関には、かつて主人が登城する際に乗っていた駕籠(かご)が置かれ、武具なども残されている。縁側から見える庭園の冬景色も趣深く、江戸時代から変わらない外の石垣土塀や門構えも重厚で、時代劇のロケによく使われているというのが納得できる。
 建物の雰囲気、料理の味ともに、わざわざ出かける価値がある名店だ。

 亀岡へはJR京都駅から山陰線で約20分。帰りは保津川下りの船に乗れば、乗船場から嵐山の着船場まで約2時間。トロッコ亀岡駅からトロッコ嵯峨駅までは、旧山陰線をのんびり走って25分。どのルートでも、保津峡の美しい渓谷を楽しむことができる。

 


◆ MENU
猪コース7,800円(冬期のみ)
武将めし4,800円(冬期のみ。猪肉の焼肉、猪肉入具だくさんみそ汁、煮物他)
季節の御膳3,800円
むしやしない御膳2,000円

◆ Data
へき亭
電話:0771-23-0889
住所:京都府亀岡市千歳町毘沙門向畑40
営業:11:30~14:00、17:00~21:00
休み:木曜


◆ Writing / 松田きこ
(株)ウエストプラン代表。兵庫県西宮市在住。食・観光・人物取材に日本中を飛び回る。ライター歴20年以上。編著書「神戸・阪神間 美味しい酒場」「くるり西宮・芦屋・東灘・灘」「くるり丹波・篠山」他
http://www.west-plan.com/