【藤本さんちの“こくはく・こくはつ”】Vol.3 学校の動物たち(次女 名子さんの巻)

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 書く順番が思ったより早く回って来たので何を書こうかと迷っている。

 数人の友達から、クラブの事を書いたらどうかとか、友達として自分の名前を出してほしいとか、いろいろと注文をつけられたが、やっぱり一番書くネタの多いのは、一日の半分近くをすごしている学校の事だろうと思う。

 私の中学校では、別に動物は飼っていないが、去年の夏、こんな事があった。

 私が一年のころの教室は木造校舎の一階だった。

 その教室の床下に、一匹の犬が住みついていた。どうやら、小さいころに、わずかなすきまから床下にもぐり込んだらしい。

 そこまでは良かったのだが、床下で成長してしまって、入ってきた所から出られなくなってしまったようなのだ。

 夏休みが始まるまでは、みんなが給食の残りのパンや、給食室に残っていた牛乳を持っていってやったり、誰ともなく世話をしていたが、夏休みが始まると、そうはいかなくなった。

 私はクラブのある日、友達といっしょに犬の様子をうかがいに行っては、お弁当を少し分けてやったりしていたが、日に日にやせていっているのがわかった。

 そのうちに、だんだん犬のことなど忘れていった。

 二学期が始まって、ふと思い出して床下をのぞきに行ったが、犬はいなかった。

 「誰かが逃がしてやったのかもしれない」という声や「いや、もう床の下で死んでるんと違うやろか」というような声が、あちこちで聞かれた。

 何日かたって、教室の床のすきまから、骨みたいな物が見えるという噂が立ったが、それが本当にあの犬の骨だったかどうかはとうとうわからないままになってしまった。

 さて、話は変わって、次は、ごく最近の事であるが、音楽の時間中、急にすずめが飛び込んで来た。

 気違いみたいに教室の中を飛び回っては、ガラスにぶつかり、とうとうあごがはずれてしまったように口をあけたまま、ぐったりとなってしまった。

 でも、男子がエサを取ってきてやったりしているうちに、すずめは元気になった。……など、中学生になってから学校で起こった動物の事件といったら、数えきれないくらいある。

 前にあげた二つの話は、その中でも特に印象に残っていることで、もっと思い出してみようと思えばあと二つほど思い出せる。

 その一つは、一年の時あったことで、同じくすずめのことである。

 そのすずめは弱っていたので、結局死んでしまった。

 箱の中に入れて、花を飾り、うめてやった。

 魚が死んでいるのは、見なれているからか、そう可哀想だとか何だとか別に思わないけれど、鳥や犬や猫なんかが死んでいるのを見ると、非常に可哀想に思う。

 うちの父上様の話によると、まぶたのある動物が死ぬのを見ると、とてもいたいたしいが、まぶたのない動物が死んでいるのを見ても、そういたいたしく思わないというのである。

 そう言われてみれば、生きた魚を料理するのは、そうこわくないけれど、生きた鳥を料理するとなるとこわいだろう。また、魚を料理しようとした時、もしまぶたをキュッと閉じたら、これまたこわいのではないかと思う。

 かなり話が横道にそれてしまったような気がしてきたが……

 二つ目は、どこからともなく、コウモリが学校へ二度ほど飛んで来たことがあった。

 コウモリを見るのは、その時が初めてだったが、ドラキュラの手下みたいで、決して気持ちのいい動物ではなかった。

 ほかにも、教室を急にねずみが走り回ったり、机の中からシャクトリムシが出てきたり……こんなことを書くと、無気味な学校だと思われるかもしれないが、決してそんなことはない。念のため。

 これで、だいたい書きたい事は全部書いたが、ひとつ気になるのは、私の担任の先生が国語の担当なので、この文章をなんと批評されるか……。

 みんなに読まれると思っただけでも冷や汗ものである。(西宮・甲陵中二年生)

※1977年7月22日号掲載

※今日の観点から見れば不適切な表現が見受けられますが、作者の意図を尊重し、そのままの形でご紹介いたします

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