【藤本さんちの“こくはく・こくはつ”】Vol.7 不思議な物の楽しさ(次女 名子さんの巻)

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 最近“この世の中には、知られていない事がたくさんあるなぁ”と、つくづく感じた。

 ニュージーランド沖でひき上げられた、あの首長竜(?)の事である。

 “なぜ、死体を持って帰らなかったのか?”

 “魚がだめになってしまうおそれがあるから、持って帰らなくて良かった”

 という二つの意見でもめているらしいが、私は“持って帰らなくて良かった”の意見である。

 もちろん、せっかくの魚がだめになってしまうという事もあるが、それよりも、その方が夢があるのではないかと思うからだ。

 持って帰ってくれば、解剖だとか何だとかむつかしい研究をされて、結局クジラの仲間だなんという事になり即、海に捨てられる。

 そういう事になれば、あまりにもかわいそうだし、「もしかしたら、ネッシーやクッシーも本当にいるかもしれない」と、ひそかに期待していた人の夢は無惨にくずれる事になるからである。

 そう思っている時、新聞に目をやると“あの謎の死体はサメだった”という記事が目に入った。

 アミノ酸の実験からいくと、ハ虫類ではなく、軟骨魚類の方が近い訳で……。

 と、いろいろむつかしい理由が書いてあったが、それを読んだとき、なぜかとても腹立たしい気持ちになった。

 新しい事が次々と証明されていくのは良い事だとは思うが、ああもあっさりと「怪獣などいない」というような事をいわれると、浪漫がなくなってしまうというか、気がぬけてしまったというか……(私のわがままな意見にすぎないだろうけど)

 それでも、まだ私はあの謎の死体が怪獣だという気がしてならない。また、そう思いたい。

 だって、南の方の島々には、原始的なめずらしい動物だっているし、化石といわれるシーラカンスでさえ実在しているのだから――。

 私は、ネッシーとか、宇宙人とかUFO、それに幽霊の話など、とても信じるタチである。UFOらしきものは、友達と見たこともある。

 私の姉は、そういう話を全然、信じない。

 広い広い宇宙の中で、一番文化の発達しているのは地球だと言い切れる訳でもないし、無数にある星の中で、たくさんの生物がいるのは地球だけだ、とも言えない。

 それなら、地球以外の星にも、人間より数段上の文化と性質を持った生き物がいないと言う訳にもいかないのではないだろうか?

 それに、地球人がロケットで月へ訪問したように、他の星の生き物が地球を訪問して来ても、ちっともおかしくないのではないかと思う。

 逆に、広い宇宙の中に、地球だけにしか生きものがいないとしたら……!

 私はとてもこわい気がする。

 地球上の人びとがみんな死んでしまって、自分一人だけが、ぽつんといるような恐ろしさを感じるのである。

 よくテレビで、突然UFOにさらわれて、宇宙人にいろいろな検査をされたという事件の特集がある。

 あんなのを見ると、とてもうらやましい。私も一生に一度でいいから、そんな体験をしてみたいと思う。

 そんな事を言うと、たいていの友人は、私の事を変人だという。

 なぜかな……? とても素敵だと思うけど――。

 こうして、あらためて見ていると、本当に不思議な事がたくさんこの世にはあるものだ。

 今までに書いた怪獣、ネッシーだけではない。雪男、ツチノコなどもその不思議の一つだし、宇宙人、UFO、それに、現在の文明にもおとらないような、はるか昔の石の帝国やピラミッドパワーなど――。

 その不思議な物は、不思議な物のままずっと残っていてほしい。

 わかってしまえば、つまらない事かもしれないし、本当は幻かもしれない。でも、あると思えば、なんとなく楽しいような気持ちになる。

 今度の謎の死体のことも、このままにしておいて、いつまでも私達に夢を持たせてほしいと思った。

※1977年8月26日号掲載

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