【藤本さんちの“こくはく・こくはつ”】Vol.11 プロ野球とアメリカ人(次女 名子さんの巻)

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 今年の夏休みは、お母さんと二人で、ディズニーランドへ行った。

 ツアーに入っていたので、時間で行動しなければならない。そのへんが少し苦しかったが、けっこう楽しかった。

 一番楽しかったのがロスアンゼルスでのプロ野球の試合。その日は一番強いらしいドジャーズ対二番目に弱いサンフランシスコ・ジャイアンツの組み合わせ。これまでの試合では、圧倒的にドジャーズの方が強い。この日はドジャーズ専用のグラウンドで試合が行なわれたので、客席はほとんどがドジャーズのファン。

 試合が始まった。

 弱い弱いと聞いていたジャイアンツの方はけっこう強く、リードしていた。両チームとも、ものすごい馬力というのか、日本の球場ならホームラン級の球をしょっちゅう打つ。

 さすが、ドジャーズ専用のグラウンドだけあって、アナウンサーまでドジャーズファンである。ドジャーズがヒットを打てば、そのたびに、はでな音楽をならし騒ぎまわる。ホームランでも打とうものなら、みんな総立ちで、お祭り騒ぎだ。

 対するジャイアンツがヒットやホームランを打てば、観覧席から黒い紙飛行機が飛んできて、みんな“ブー”と低いうなり声をあげ、しまいには、アナウンサーまで“ブー”といい出すしまつ。日本でアナウンサーがこんなまねをしたとすれば、即クビになるかもしれないなー。

 でも、アメリカでは許されている。そんなことから考えても、アメリカのプロ野球の試合は、いかにショー的なものなのかがわかる。本当に観客、選手、その他の人々が、みんなで楽しんでいる。それに、とてもおおげさにふるまい、自分自身でも楽しんでいる。

 なんて陽気な民族なんだろう。

 甲子園のかち割りのように、ピーナッツやジュースなどを売りに来るおじさんも、なかなかおもしろい。

 たとえば、おじさんが一番下の段にいて、10段目のお客さんがピーナッツをくれというと、いちいちそこまで持っていかず、ものすごく正確な、昔ピッチャーでもやっていたんじゃないかと思うようなコントロールで、そのお客さんの所へピーナッツを投げる。

 そのお客さんがピーナッツをちゃんと受けとれたら、まわりの人達は拍手をして喜ぶが、お客さんが失敗して受けとれなかった時は、何回でも成功するまで、ピーナッツ売りと投げ合い、受け合いをしている。

 もう一つ、客席で目についたのは、グローブや虫取り網。

 日本の試合でも、王選手のホームランボールを取ろうと、グローブをかまえて試合を見ている人もいたそうだが、これと同じことで、飛んでくるボールを取るために持って来ているのである。

 アメリカの試合では、ホームランボールはもちろん、ファウルボールも受けた人がもらえるようになっているので、ファウルボールが飛びこむたびに、たいへんな騒ぎでボールの取り合いが始まる。

 そこで、グローブでは確率が低いと、柄の長い虫取り網を振り回して、少しでも自分の行動範囲を広げようと必死である。そういう人も、たくさん見られた。

 一見上品そうなおばさんや女の人も、自分の好きなチームが負けそうな時や逆転された時は、泣き叫んだり、どなり散らしたり、異常なほどオーバーに応援している姿が面白く印象に残っている。

 この野球を見ていて気に入ったのは、試合前に国歌が流れるというところ。

 わが日本では、君が代は国歌でないとかあるとかいろいろもめているようだが、試合前に国歌を流す場面は、とても新鮮に見えた。アメリカ国歌が、かっこいいからかな?

 一度、日本でも流してみると面白いだろうと思う。

 この日の試合は、ジャイアンツの勝ち。めったに勝ったことのないジャイアンツが勝ったという珍しい試合が見れたというのは、とてもハッピーな事だったのかもしれない!

※1977年9月23日号掲載

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