ご存知ですか?「生前贈与」 どんなメリット? “争族”とならないために

 高齢社会が進むにつれ、「相続」への関心が高まっています。中でも注目を集めているのが「生前贈与」。どのようなメリットがあるのでしょうか。北おおさか信用金庫業務推進部次長で、ファイナンシャルプランナーの野村修由さんに解説してもらいました。

 

 「相続」に対する関心の高まりは、2015年1月に相続税制が改正されたことも大きいですね。基礎控除額が改正前の4割減となったことで、課税対象者が増加したからです。そこで、相続税対策として現有資産を減らす、その“ツール”の一つとして注目されているのが「生前贈与」です。贈与税の基礎控除額は年間110万円。しかし、特例措置を活用すれば、もっと大きな金額を非課税で贈与できます。

 

「教育」「結婚・子育て」

基礎控除額の計算例

 まず「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」。直系尊属(祖父母など)から孫などへ、教育資金として1500万円まで、非課税で一括贈与できます。ただし、2019年3月31日までの時限措置であり、その期限までの間に、贈与を受ける人が30歳未満であることなどの要件があります。
 もう一つは、「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」。こちらも直系尊属(父母・祖父母など)から、最高1千万円まで、非課税で一括贈与できます。「教育資金」と同じく、2019年3月31日までの期間中、贈与を受ける人が20歳以上50歳未満と定められています。
 いずれの特例措置も、子どもに一番お金がかかる世代が対象ということですね。「教育資金」であれば、学校の入学金や授業料、子どもの習い事など、「結婚・子育て」の場合は、挙式や出産にかかる費用など、かなりストライクゾーンが広いです。

 

イラスト

ライフプランも考えて

 手続き的には、家族間でも契約書を交わすのが一般的です。その際、弁護士や税理士などに、きちんとした書面を作成してもらうことをお勧めします。また、金融機関に専用口座を開設する必要があります。
 制限年齢を超えるなどして契約が終了した場合に残金があると、贈与税の課税対象となりますから、使い切るようにした方がいいでしょう。
 贈与する側も、自身のライフプランをしっかりと考えておきたいもの。将来的な生活資金のことも考慮しておく必要があります。

 

故人の思いを継ぐ

野村修由さん

 いわゆる相続争いとなっている遺産額は約75%が、5千万円以下と言われています。「うちにはそんな財産はないよ」とお考えかもしれませんが、特に、人気の住宅地である北摂・阪神間エリアに不動産をお持ちであれば、課税対象になり、不動産を売却して税金を工面するということにもなりかねません。
 本来の相続対策のポイントは三つあり、①節税対策②納税資金対策、そして、③家族の争いを避ける「争族」対策です。この三つのバランスをとることが大切です。
 「相続」とは、財産を継ぐだけのものではありません。自分が亡くなった後も、仲良く暮らしてほしい――。そんな思いも継ぐものだと思います。

 

※特例措置を受けるには一定の要件があります。
※個別の税額などの詳細については、税理士などにご相談ください。




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