東京エリアの珍情報がぎっしり! 井上理津子さんの最新刊『すごい古書店 変な図書館』

 朝日新聞大阪本社版火曜夕刊の連載コラム「味な人」執筆陣の一翼を担うライターの井上理津子さんが、最新刊『すごい古書店 変な図書館』(祥伝社新書)を出版した。

 奈良県生まれの井上さんは20代でフリーライターとなり、長く大阪を拠点に仕事をしてきたが、2010年に住まいを豊中から東京に移し、『さいごの色街 飛田』『葬送の仕事師たち』(共に新潮社)などを発表してきた。

 

「読書好きの方も、それほどでもない方も、本書を読んで、掲載店に足を運んでほしい」と井上理津子さん

 今回の本は、夕刊紙「日刊ゲンダイ」読書面の連載コラムをまとめたもの。東京とその近郊の85の古書店と32の専門図書館を訪ねたルポで、ガイド本とは一味ちがう“読み物”になっているところが面白い。1件当たり新書版の見開き1ページ(約1,000文字)に、その店や図書館の特徴を、様々な切り口から達者な筆でさらりと書いている。

 取材時には店の書棚や図書館の中を見せてもらうだけではなく、店主にあれこれ質問したり、たまたま訪れていた客と話したり、処分して悔やんでいた本に遭遇して、迷わず購入したり……。まさに“井上流”の体当たり取材を、読者は目の当たりにすることになる。

 地図と地誌が専門の神田神保町の秦川堂(しんせんどう)書店には、都道府県別の古地図が無数に積まれ、「高価なものはありませんが、“使える古地図”はウチが日本中で一番多い」と店主が胸を張る。わが家のルーツ探しに訪れる人が多いそうだ。

 入り口近くに『宝塚歌劇の60年』が置いてあった目白の金井書店には、落語関係の本がどっさりあるだけでなく、井上光晴、村上龍、牧羊子、柳美里らの署名本500冊の棚があった……。

 

 取材を重ねるうちに身についたと思われる殺し文句(?)は「ここで一番すごいもん、見せてください」。そうやって出会ったお宝の数々は、読む人もきっと見てみたいと思うはず。

 

 「最近、街の本屋さんが元気ないでしょう? 新刊書店で本が売れないと、私たち著者も出版社も潤わないけれど、そもそも読書人口が増えてほしいなぁと。時々そんなことを思いながら回りました」と井上さん。

 取材しながら「ネット書店とは異なる“偶然”の出会いに満ちた、リアル古書店の醍醐味(だいごみ)を感じた」と言うが、東京へ出かけて時間が空いた時に、出かけてみたい所をチェックするためにも、一読をお勧めしたい。定価864円。(大田季子)




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カテゴリ: ライフ&アート

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