永遠を夢見た「軍団」が大阪に 特別展「始皇帝と兵馬俑」が開幕 内覧会をリポート

 特別展「始皇帝と兵馬俑」が7月5日(火)から、大阪・中之島の国立国際美術館で始まった。

 中国大陸に初めて統一国家を樹立した秦の始皇帝と、秦王朝にまつわる貴重な文物約120件が一堂に展示されている。

 始皇帝の陵墓を守護するために作って埋められ、1974年に農民が偶然に発見した兵馬俑が、日本初公開の3体を含む10体が大阪にやって来た。注目の特別展を、開幕に先立つ4日(月)の内覧会で見どころを探ってみた。

 ◇  ◇

 会場は3つのゾーンで構成されている。

 最初は「秦王朝の軌跡~周辺の小国から巨大帝国へ」。甘粛省南部の小国であった秦が、肥沃な大地で徐々に勢力を強め、北方や西方の多民族と積極的交流しながらも、豊富な人材と武力を背景に、天下統一へと成長していく過程を、青銅器や金銀器、土器などを通して紹介している。

玉胸飾り(手前右)が展示された最初のゾーン
玉胸飾り(手前右)が展示された最初のゾーン
玉剣・金剣鞘
玉剣・金剣鞘
水道管
水道管
 

 最も目を引いたのがゾーン中央の「玉胸飾り」。キツネや動物をかたどった玉(ぎょく)と、メノウの管や珠(たま)などを綴った胸飾りで、みずみずしい緑の玉の光沢と、メノウの鮮やかな赤や朱色が鮮やかで、3千年の時の経過を感じさせないすばらしい逸品だ。

 「玉剣・金剣鞘」は、玉を磨いて作った短剣が、龍のような文様が透かし彫りされた鞘に収まる造り。短剣は刃と柄の境目に獣の面が彫られ、透かし彫りもとても細やか。秦王朝が、金や銀を多用した北方民族と深い交流があったことを今に伝えている。

 続いては「始皇帝の実像 発掘された帝都と陵園」。中国で初の皇帝となった始皇帝が、それまで地方で異なっていた度量衡や貨幣を統一し、支配体制を確立していく様子を紹介している。

 最大の見ものは、「水道管」の展示。ろうと状の取水口とL字形水道管、水道管が見事に連結して水を流す仕掛けになっており、秦王朝が高度なインフラ技術を持っていたことがわかる。このほか、重量の基準となった重りの「両詔権」も展示されている。

兵馬俑が並ぶ展示室
兵馬俑が並ぶ展示室

 次はハイライトの「始皇帝が夢見た『永遠の世界』 兵馬俑と銅車馬」。

 他の展示室より一段低い「半地下」の構造の部屋となっており、地下から数千点が出土した西安近郊の「兵馬俑坑」の雰囲気が体感できるようになっている。

 兵馬俑は、当時実在した将兵をモデルに、ほぼ等身大で作ったとされるため、騎兵、立射など、一体ずつ役割に応じた姿勢を取り、身につけている物も少しずつ違うのが特徴だ。

 今回は始皇帝の兵馬俑よりも前の時代の作られた小さな騎馬俑も展示しているが、その高さはわずか22センチ。1メートルを優に超える始皇帝の兵馬俑とのスケール感の違いに、その権力の大きさが、まざまざと感じ取れる。

騎馬俑
騎馬俑
 
将軍俑
将軍俑
跪射俑
跪射俑

 10体展示されている兵馬俑のうち、最も威厳を放っているのが「将軍俑」。

 高さは195センチもあり、湾曲した冠と、丈の長い房飾り付きの立派な鎧を身につけている。背後の装飾も見事で、思慮深そうな眼差しとたくましい両腕に、百戦錬磨の武将ならではの風格がただよう。

 片膝を立てた「跪射俑」は、もともと右側には弓を携えていたとされ、鋭い眼光と緊張した面持ち、今にも前に踏み出しそうな迫力に満ち、戦場の緊張感が伝わってくるようだ。

 さらに奥に進むと、「銅車馬」が2種類展示されている。

銅車馬は複製が展示
銅車馬は複製が展示

 4頭立ての馬車をかたどった青銅製の精巧な模型で、実際の馬車の半分ほどの大きさ。表面全体には彩色が施され、馬には金銀の豪華な金具が着いている。

 後方の銅車馬の輿(みこし)は人間が中に座れるようになっており、窓が開閉できるような細工も。始皇帝の霊魂を乗せて出かけるために副葬されたと伝えられ、死後も皇帝として永遠に世界支配を夢見ていた始皇帝の権威と野望を垣間見ることができる。

撮影コーナー
撮影コーナー

 出口近くには、立ち並ぶ兵馬俑軍団との記念撮影コーナーや、関連グッズの販売コーナーも充実しており、ミュージアムショップ好きに人気を呼びそうだ。

 特別展を企画した国立国際美術館の安井正博・主任研究員は「兵馬俑坑の雰囲気を感じていただきたい。日本と中国の交流促進にも期待しています」と話していた。

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 10月2日(日)まで。月曜休み。7月18日、9月19日は開館。

 一般1500円、大学生1200円、高校生600円。中学生以下無料。

 問い合わせは電話06-6447-4680、国立国際美術館へ。

http://heibayou.jp

 

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