1対1の駆け引きに魅せられて

五輪メダリストの太田雄貴さんらの活躍で知名度が上がってきたフェンシングだが、部活がある大阪の高校は少なく、4校にとどまる。しかし部員の熱意は高く、その中で、全国大会に何度も出場し、輝かしい成績を収めているのが吹田市の関西大学第一高校フェンシング部だ。
現在部員は2・3年男女合わせて16人。全員高校で始めたといい、キャプテンの田川奈央さん(3年)も中学ではソフトテニスをしていたが、高校では新しいことに挑戦したいと、フェンシングを選んだ。最初はとりあえず突くことに必死になっていたが、それだけでは通用しない。フェイントをかけて相手の裏をかく心理戦も重要だと知り、その駆け引きのおもしろさに、いつの間にかのめりこんでいった。
日々の練習メニューは、部員で考える。全員が初心者だったからこそ、一方的に指示するのではなく皆でアドバイスし合って練習する。「勝つためにはどうするか、皆が考えながら練習できるようになった」と田川さんは話す。
夏の高校総体出場に向けて、すでに予選大会がスタートしている。田川さんも有終の美を飾るべく、毎日3時間の練習や研究に余念がない。
【ブカツこぼれ話】
4月から始まった新連載「うちのブカツ自慢」。阪神・北摂地域を中心に中・高等学校の多彩な部活・サークル活動にスポットを当てていきます。今回は、関西大学第一高等学校フェンシング部です。
太田雄貴さんの活躍により、日本でも広く知られるようになったフェンシング。太田さんも選手時代に「フェンシングはまだまだマイナーなスポーツ」とよく言っていたように、フェンシングの競技人口はまだ少なく、ほとんどの選手が高校から始めるそうです。
私もフェンシングは五輪の時にテレビ中継で見るぐらい。せっかくの機会なので、マスクや剣など競技用具を見せてもらいました。フェンシングには「フルーレ」「サーブル」「エペ」の3種目があり、種目によって剣の形状や有効面(得点となるターゲット範囲)が異なります。「フルーレ」を例に挙げると、選手は有効面に金属を織り込んだメタルジャケットを着用。判定は電気審判器で行い、剣先のボタンスイッチで発生した電気信号をワイヤまたは無線機器により審判器に伝えます。
女子選手は普段の練習や試合では、女性用プロテクター、半袖プロテクター、メタルジャケットなど4重に着ています。体育館などで練習する彼女たちにとって、梅雨から夏の時期は、かなりハードそうですね。
フェンシングの用具を持っていると「何のスポーツ?」と聞かれることがあるそうです。「もっとメジャーなスポーツになって、野球やテニスのように道具を見ただけでわかってもらえるようになりたい」と田川さんは話してくれました。
関西大学第一高校フェンシング部は、顧問の先生のアドバイスを受けて、部員が主体になって練習しています。試合を撮影して後日見直し、課題を克服するための練習メニューを皆で考えています。新年度も始まり、高校総体や高校選抜、全日本選手権など全国大会出場に向けて日々猛練習に励んでいます。知れば知るほど奥深いフェンシングの世界。これからも要注目です!(大)