JR新神戸駅に“土の山”が出現!?
「六甲ミーツ・アート」でサテライト展示 現代アートが山と街つなぐ

神戸・六甲山上エリアを周遊しながら現代アートの作品の数々を楽しめる展覧会「六甲ミーツ・アート 芸術散歩 2020」が、11月23日(月・祝)まで開催中。過去最多の44組が出展した今年は、JR新神戸駅にサテライト展示作品となる“土の山”がお目見えし、神戸の玄関口に趣向を凝らしたアートの風を吹かせている。

JR新神戸駅コンコースに登場した「六甲ミーツ・アート 芸術散歩 2020」の前田耕平さんの作品「イトム」

新神戸駅1階コンコースに展示されているのは、京都市在住のアーティスト前田耕平さん(29)の作品「イトム」。六甲山から約10トンの土を約半月かけて運び入れ、高さ約2.5メートルの円錐状に積み上げた。

自然と人、事物の距離や関係を一貫して考察した作品づくりを続ける前田さんが、モチーフにしたのはタイのお守り「プラクルアン」。タイでは仏像や僧侶のミニチュアを護符として身につける慣習があり、前田さんは約2年前にタイを一人旅した際、お土産店で約3センチのプラクルアンに出会った。「ユニークな形と、そこに込められた人々の信じる思いに感銘を受けました」と前田さん。

「イトム」のシリーズ作品に挑む前田耕平さん

土から仏像などが造られる様子に触発されたのか、粘土から造形物を生み出す過程に映像などを組み合わせ、「イトム」と名付けたシリーズ作品の制作を帰国後にスタート。新神戸駅での展示作品もその一環で、昨年の「六甲ミーツ・アート 芸術散歩 2019」で神戸市長賞を受賞した前田さんが、六甲山と神戸の市街地を、時間と距離を超えてつなぐ作品として構想した。

イベントの開幕に合わせて9月12日に展示が始まった「イトム」。実は、円錐状だった“山”の高さは日を追うごとに低くなっている。週末を中心に前田さんが来場し、土を山から切り出し、水を混ぜて粘土にして、土像のような造形物に次々と姿を変えているからだ。

週末を中心に前田さんの制作風景を見ることもできる

そうして出来上がっていく造形物は高さ10数センチから50センチぐらいまで大小さまざまで、“山”のふもとに所狭しと並ぶ。順に素焼きが施され、色合いも焼け具合も同じものが二つとない。乾燥して徐々にひびが入っていく“山”の容姿とあいまって、見る人の価値判断を激しく揺さぶる。マイペースで制作に打ち込む前田さんと作品を、駅を行き交う学生や観光客、サラリーマンらが時折り足を止めて、不思議そうな表情で見入っていく。

コロナ禍の中での発表となった今作。前田さんは「何が正解がわからない時代になってしまいました。信じることの強さを感じてもらえたらうれしいです。パブリックな場所での制作は私にもとても刺激があります」と意欲を燃やす。作品は7~21時に鑑賞できる。

モニターでは神戸市内を「イトム」が移動する映像作品も放映

新神戸駅での展示は恒例となったアートイベントと、コロナ禍の中で関心の高まる近郊レジャーを盛り上げようと、「六甲ミーツ」の主催者である六甲山観光と、駅を管理するJR西日本が協力して実現した。また、神戸市は三宮、新神戸からまやビューライン、六甲ケーブルを結ぶ「六甲・摩耶急行バス」を11月30日(月)まで1日6往復運行中。新神戸駅の拠点機能アップの取り組みの一つとしても注目されている。




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カテゴリ: ライフ&アート

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