新潟県の地酒と郷土料理を阪神西宮駅で
【新潟うまいもん じょんのび】兵庫県西宮市

関西・オンナの美酒佳肴

 

新潟県の地酒と郷土料理を阪神西宮駅で

【新潟うまいもん じょんのび】兵庫県西宮市 

 

 新潟といえば日本酒の聖地。淡麗辛口の地酒が大流行したのはいつの頃だったろう。酒飲みにはたまらない新鮮な魚に野菜、美味しい料理がたくさんあるまち。そんな新潟の料理と酒を味わえる店が、阪神西宮駅構内にできた。その名は「じょんのび」。ゆったり、のんびりという意味の方言だ。カウンターと立ち飲みのテーブルが並ぶ小さな店は、改札を出てすぐという場所柄もあって、ちょっと一杯飲んで帰りたい日に足がとまる。

 

地酒と塩辛三種盛り合わせ
地酒と塩辛三種盛り合わせ

 

 八海山、久保田、北雪、真野鶴、鶴齢、越乃寒梅、〆張鶴エトセトラ。黒板に書かれた銘柄は約40種類。いずれも名前を知られた名酒ばかり。さらに季節限定酒が7~8種類。さんざん迷って、はじめの一杯は、平成になってからできた蔵、よしかわ杜氏の郷・秋にごりに決めた。「最新の設備で若い蔵人たちが仕込む酒がイケる」と聞いたことがあったので味わってみたかったのだ。酒米は百万石。しっかりした旨みのあるにごり酒は、鮭、蛸、イカ、三種の塩辛をアテに、グラスはすぐに空になった。

 

栃尾の油揚げとタレカツ丼
栃尾の油揚げとタレカツ丼

 

 2年前に初めて新潟に行った時、関西では見かけない料理がたくさんあって驚いた。それから何度か訪れているが、その都度発見があるほど新潟はとても広い。
 大きくて分厚い栃尾の油揚げはこんがり焼かれて柚子味噌とネギをトッピング。タレカツは薄いトンカツを醬油ベースの甘辛いタレに浸けたもの。二杯目のグラスは、新米新酒の上善如水。あ~美味しい。

 村上市の伝統食「塩引き鮭」は、遡上した鮭を塩漬けにした後、風通しのよい屋内に吊るして干す。越後の寒風にさらされた鮭はアミノ酸発酵によって旨みが熟成されていく。薄く切って酒をかけたものが「酒びたし」で、これがまた酒によく合うのだ。

 メニューには、塩漬けの唐辛子を発酵させたかんずりとクリームチーズ、のっぺ、へぎそばなど越後の郷土料理が並ぶ。そしてシメに忘れてはならないのが、魚沼産コシヒカリのご飯。遅い時間にヤバイな、と思いつつ、この味を知ってしまったからには、また頼んでしまうのだ。

 

阪神西宮駅・えびす口改札の前
店は、阪神西宮駅・えびす口改札の前

 

 じつはこの店は新潟県のアンテナショップ。気に入った食材を買うこともできる。塩辛、かんずり、笹団子、柿の種。そして新潟県でしか売っていないお菓子のサラダホープ。1961年(昭和36年)に発売になったロングセラー米菓で、パリンと軽い噛み応えでやさしい塩味。新潟に行く度に買い求めたお菓子が買えるって、なんて嬉しい!

 これからの季節、新米で造った新酒が続々に届く。どんな季節限定酒に出会えるか、とっても楽しみな店なのだ。

 


◆ MENU 【価格は税込み】
地酒60㏄290円~、120㏄580円~
塩辛三種盛り合わせ590円
タレカツ丼850円
栃尾の油揚げ590円

◆ Data
新潟うまいもん じょんのび
電話:0798-32-1500
住所:阪神西宮駅えびす口改札外(2階)
営業:【月~土】11:00~22:00、【日・祝】11:00~20:00
休み:なし


◆ Writing / 松田きこ
(株)ウエストプラン代表。兵庫県西宮市在住。食・観光・人物取材に日本中を飛び回る。ライター歴20年以上。編著書「神戸・阪神間 美味しい酒場」「くるり西宮・芦屋・東灘・灘」「くるり丹波・篠山」他
http://www.west-plan.com/