能楽堂が架空の格闘技の道場に! 能「巴」をモチーフに能と現代演劇がコラボする衝撃の舞台 「ともえと、」

 年の初めは、誰も見たことのない新しいものに出会いませんか。

 現代演劇の劇作家による能へのまなざしと、伝統芸能を継承する能楽師の志を掛け合わせて、新たな舞台芸術の可能性を追求する、山本能楽堂の能×現代演劇シリーズ第4弾は、能演目「巴」を取り上げて、能楽堂の舞台で全く新しい演劇を創造する。

 題して「ともえと、」。台本は、2016年から始まったこのシリーズに初回から参加して作・演出を手掛ける林慎一郎(演劇ユニット「極東退屈道場」主宰)と、シリーズ第2弾「心は清経」にパジャマ姿(!)で出演した岡部尚子(劇団「空晴(からっぱれ)」代表)が共同執筆、岡部は今回も演者に入る。

 能楽側からは、初回から中心となっている観世流シテ方の林本大が出演。斉藤敦の笛も重要な場面を担い、現代演劇側からは、太田清伸、小塚舞子、後藤七重が出演する。

(左から)岡部尚子、林本大、林慎一郎=2017年12月25日、山本能楽堂の舞台での制作発表記者会見で

 巴御前と聞いて多くの人がまず思い浮べるのは、平安時代末期の源平合戦のさなか木曽義仲とともに戦った女武者の勇ましい姿だろう。

 能の「巴」は、木曽の山里から都に上る途上の旅の僧が琵琶湖のほとりで一人の女性(実は巴の亡霊)に出会い、成仏したいという彼女の願いを助ける代わりに、戦死した義仲とともに戦って死ぬことを許されなかった巴の無念の物語を聞かせる……という筋立てだ。

 今回「巴」を取り上げた理由を、林慎一郎は「武士の死に様を伝える修羅ものと呼ばれる能作品の中で唯一、女性が登場する点に魅かれた。このシリーズを手掛けて思うのは、能の作品は話をそぎ落としてエッセンスしか残っていないということ。現代演劇でいうところのサービスが一切ないが、そこを逆手にとり、1対1の関係を広げていけば、多数の関係性を描けると思った」と語る。

 主な登場人物は4人。木曽義仲を中心に、巴、妻の山吹、巴以前に義仲に仕えて戦死した女武者・葵、そして従者の兼平をイメージした男1人、女3人が、それぞれの立場から義仲との関係性を語っていく。

 シリーズ出演を機に能を頻繁に見るようになり、2017年は40本見たという岡部は「合戦という“敵を倒す”戦いを何に置き換えたらよいかと考えて、能楽堂を架空の格闘技の道場に見立てることを思いついた。道場に集まった4人が、誰が一番、義仲への思いがあるかを吐露していく中で、決死の戦を前に義仲から『女だから帰れ』と告げられた巴御前がどんな気持ちでいたのかを表現したい」と語る。

 当初は、1カ月近くメンバーで稽古を重ねて上演する小劇場と、各自が日々の稽古で精進して公演当日に集まる能楽の文化の違いに戸惑う場面もあったというが、今回は年明けから舞台稽古が始まっている。林本も「前回は仕舞を組み合わせたが、様々なアイデアが稽古をしているうちに1本に絞られていく。最終形は当日のお楽しみに」と話す。

 

 【公演情報】1月28日(日)15時、29日(月)19時開演。開場は開演の30分前。会場は国登録有形文化財の山本能楽堂(地下鉄谷町4丁目)。料金は前売り2,500円、当日3,000円。予約・問い合わせは山本能楽堂、TEL06・6943・9454へ。ホームページからも予約できる。

 山本能楽堂のホームページはコチラ http://www.noh-theater.com

 




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