三宮に民間の脳卒中リハビリ施設 「機能維持ではなく改善を」

 脳梗塞や脳出血など、脳血管疾患の後遺症改善に特化した民間リハビリ施設「脳梗塞リハビリセンター神戸」が、神戸・三宮のセンタープラザ西館7階にオープンした。一人ひとりの症状や具体的な改善目標に合わせたオーダーメードのリハビリプログラムを保険外の全額自己負担で提供。リハビリの量、内容ともに充実させ、病院を退院後、公的医療保険や介護保険のリハビリに物足りなさを感じている人のニーズに応える。

 

株式会社ワイズ会長兼CEO・早見泰弘さん

 リハビリおよびヘルスケア事業を展開する株式会社ワイズ(東京都港区)が運営。首都圏を中心に施設を展開し、2019年2月には大阪市北区のリーガロイヤルホテル内への開設で関西初進出。脳梗塞リハビリセンター神戸は全国で17施設目となる。会長兼CEOの早見泰弘さんは「現在の社会保障制度下では対応が難しい『リハビリの隙間』を埋める存在になりたい」と話す。

 

 

リハビリをしたくてもできない“リハビリ難民”のニーズを満たす

 脳血管疾患の患者数は25年には300万人に、退院後リハビリを要する患者数は150万人に達すると見込まれる。その一方で国は医療費抑制のため、06年から脳卒中発症後の手術や初期のリハビリを兼ねた入院日数を最大180日までに制限。期日があるため、後遺症を完全に克服する前に退院せざるを得ない人もいるのが現状だ。

 また退院後、公的社会保障制度の適用範囲内で受けられるリハビリは、医療保険の場合週1回40分程度に制限され、介護保険の場合もグループ単位での汎用的なリハビリが中心。さらに19年4月からは、要介護被保険者は退院後、医療保険によるリハビリが受けられなくなった。「機能を維持するだけでなく“改善”するためにもっとリハビリがしたいが、どこに行ってよいかわからない人が潜在的にいる。制度の隙間により十分なリハビリを受けられず、障がいや痛みを抱えて暮らす“リハビリ難民”のニーズに応えたかった」と早見さんはセンター開設に込めた思いを話す。

 

■濃い内容と密度 一人ひとりのゴールに親身な対応

 センターには理学療法士をはじめ脳卒中リハビリの専門家が常駐する。60日の間に1回約2時間のリハビリを16回行う基本プランは、まずカウンセリングで「どう機能を改善したいか」などをヒアリングし、一人ひとりの目標に応じたリハビリプログラムを組む。

VRを使ったリハビリは体幹バランスのトレーニングに効果があるという

 1回あたりの施術の流れは、まず鍼灸で脳を覚醒。自律神経を調整しつつ硬い部分をほぐし、その後のリハビリを行いやすい体をつくる。続いて、脳に手足の動かし方を「思い出させて、学習する」手法のもと、理学療法士・作業療法士がアプローチ。最後は運動トレーナーが個別の症状に合わせて様々な器具を用い、歩行訓練をはじめ体の動かし方を脳にしっかり定着させる。すべてマンツーマンで、密度の濃いリハビリが提供される。

 「最終目標として何ができるようになりたいか」も重視している。例えば「再びコーヒーを淹れたい」と願う喫茶店経営の利用者には、ドリップセット一式を準備してリハビリのメニューに取り入れた。「赤信号に変わる前に横断歩道を渡り切りたい」と願う利用者には、実際の横断歩道で訓練をサポートした。「その人が望む目標をかなえたい。生活期のリハビリなので、生活に密着して寄り添い、病院とは違うアプローチに挑戦できるのも私たちの強みです」と理学療法士の郷胡(ごうこ)佑輔さんは話す。

 7月23日に行われた内覧会には、兵庫県豊岡市在住の女優・河合美智子さんが登場。16年に脳出血を発症し、今も右半身にまひが残る。センターで実際にリハビリを体験し「自分だけのためにスタッフの皆さんが一生懸命やってくれる。忘れてしまった体の動かし方を一つひとつ説明してくれて、良くなる方向にイメージが広がった。少しだけど小走りもできた」と感想を話した。

センターでのリハビリを体験する河合美智子さん

 

 基本プランの「60日間改善リハビリ」は全16回で税込み29万7千円。120分1回の体験プランは税込み5400円。8月31日(土)まで神戸施設での初回体験無料キャンペーンを実施している。問い合わせは℡0120・251・108 https://noureha.com/facility/facilitylist/koube/




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