世界遺産の津堂城山古墳で新作能「水の輪」~9/16(月・祝)アート・マルシェ・カルチャーを楽しむ「まほら藤井寺」~

 百舌鳥・古市古墳群の世界遺産登録を記念して9月16日(月・祝)12~20時、古市エリアの津堂城山古墳で、藤井寺と古墳にまつわる3つのプログラム(アート、マルシェ、カルチャー)を楽しむイベント「まほら藤井寺」が開かれる(「まほら」は「まほろば」と同じく優れた素晴らしい場所を意味する古語)。主催:藤井寺市、藤井寺市観光協会、公益財団法人 山本能楽堂。

【アクセス】近鉄南大阪線「藤井寺」駅下車、 北へ徒歩17分

【津堂城山古墳】

今回、世界遺産に登録された古墳は全部で45件。ほとんどの古墳は宮内庁管轄で市民は立ち入れないが、会場となる津堂城山古墳は一部エリアを除き市民の憩いのスポットとして利用されている珍しい古墳だ。室町時代に墳丘を掘削して城が築かれたため原型をとどめていないが、発掘調査などから4世紀後半に作られた前方後円墳(墳丘長210m、後円部の高さ16.9m)と判明。1958年に国の史跡となり、世界遺産を構成する古墳の一つとなった。

 

 古墳の森を背景に設ける特設ステージで18時30分から上演されるのが、最新技術のLED照明を使った現代アートと能楽のコラボレーションで届ける新作能「水の輪」だ。

新作能「水の輪」2011@近江八幡公演(写真:辻村耕司)

 「水を大切にする気持ち」をキーワードに山本能楽堂が10年前に制作し、「水都大阪2009」最終日に初演。子どもたちが参加する事前ワークショップを伴い、大阪だけでなく近江八幡、小豆島、屋久島、大船渡やブルガリアでも再演され、今回が20回目の上演という。

 山本佳誌枝事務局長は「『水の輪』は上演する土地の歴史や文化、産業を作品に取り入れ、その土地ならではの能として再演を続けています。今回は大和川を舞台にした河内の物語。川が汚れてお客が減ったと嘆く船頭が昼寝をして目覚めたら川がきれいになっていたというお話です。全体が船頭の夢の中での物語になっていて、まことに能らしい夢幻の世界です。8月後半から3回、親子連れなど50人を超える市民が参加するワークショップで、紙を折って裃(かみしも)を作り、謡を練習しています。謡は自宅でも練習できるよう『SUPER UTAI』というアプリを開発。上手に歌えたら観客と拍手が増えて楽しいと人気です。水環境の保全は世界中どの地域でも課題となっており、国連のSDGs(持続可能な開発目標)のゴールに向けても、この作品を通して能の力で発信し続けていきたい」と話す

山本能楽堂の山本章弘さん(左)と照明アーティストの藤本隆行さん=8月23日、山本能楽堂で

 能楽師で代表理事の山本章弘さんも「新作能は20回も上演されることはまずない。次世代を担う子どもたちとふれあい、現代アーティストたちと協力し合う中で、この作品によって将来に広がる可能性を見いだしていければと思っています。能楽師として舞台を支えてくださるテクニカルの人たちと一緒に作っていく大切さを改めて感じている。今回は大阪府で初めて登録された世界文化遺産の古墳で、ユネスコの無形文化遺産である能を上演することは有形と無形の融合、『ダブル世界遺産』ともいえますね」とうれしそうに話す。

 LED照明を担当する照明アーティストの藤本隆行さんは「古墳で照明を手掛けるのは初めて。日没後まだ明るい薄暮の時間帯から夜に入る時間。ステージの後ろの森に、謡で参加する市民たちのサブステージがあります。最後は水の輪が広がるように、輝く光を古墳の森全体に当てて、森を光で満たせないかなと考えています」と構想を語る。

 

「古墳deマルシェ」には15店舗12ブースが登場。老舗と若者に人気の店や作家がコラボするFRAP(エフラップ)が古墳にちなんだ商品やスイーツ、雑貨などを販売(写真:前端紗季)

 観覧無料。特設ステージでは17時から奥村旭翠(人間国宝・藤井寺市民)一門による筑前琵琶特別公演もある。雨天時は藤井寺市立市民総合会館で同時刻に上演。天候判断は9月14日に行い、藤井寺市のホームページで告知する。

 藤井寺市のホームページはコチラ https://www.city.fujiidera.lg.jp/

 「まほら藤井寺」についての問い合わせは、TEL072・939・1086、藤井寺市制作企画部魅力創生課へ。




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