【続報】第41回「地方の時代」映像祭 グランプリは岡山放送「忘れてはいけないこと~認知症受刑者が問いかけるもの~」

グランプリを受賞した岡山放送の岸下恵介ディレクター

第41回「地方の時代」映像祭(日本放送協会、日本民間放送連盟、日本ケーブルテレビ連盟、吹田市、関西大学の共同主催)の贈賞式が11月13日、関西大学千里山キャンパスで開かれ、岡山放送の「忘れてはいけないこと~認知症受刑者が問いかけるもの~」(48分・2021年5月22日放送)がグランプリを受賞した。

岸下恵介ディレクターは「映えある賞をいただき、驚くと同時に喜びでいっぱいです。取材を受け入れてくださった刑務所と受刑者さんにも感謝します。夕方の番組ではキャスターを務めていますが、この作品は、2017年に番組で取り上げた岡山刑務所に認知症の高齢者が多いという問題を掘り下げたものです。その番組を見た介護福祉士さんが現在、刑務所で働いておられますが、事態は進行していました。ディレクターとして刑務所長に取材交渉し、現場で取材し、ナレーションも自分で行いました。私は20代ですが、撮影を担当したのも20代の同僚です。400人余りの受刑者を収容する岡山刑務所は、殺人などを犯し無期懲役の受刑者が多く、4人に1人以上が65歳以上の高齢者で、予備軍を含めると約20人が認知症です。自分がなぜ、ここにいるのか思い出せない人もいました」と話した。
審査委員長の和田省一朝日放送テレビ名誉エグゼクティブは講評で「今回は制作時期がコロナと重なったが、東日本大震災から10年、戦後75年の節目の年に当たり、それらを取り上げた作品が多かった。今年のサブテーマは『地域と人の未来を耕す』だったが、未来を耕すためには過去の戦争をしっかり見据えなければならない。戦争をテーマにした作品は、当事者を見つけることも高齢者につらい体験を聞くのも困難な中で、胸に迫る作品が多くあった。グランプリ受賞作は、そうした力作ぞろいを抑えて、私たちが普段目にすることの少ない塀の向こうで進行している問題を粘り強く取材し、判断材料を十分に提出して考えさせるものになっていた」とたたえた。

各部門の優秀賞は下記の通り。
【放送局部門】
SBCスペシャル「まぼろしのひかり~原発と故郷の山~」(信越放送・50分)
ETV特集「“焼き場に立つ少年”をさがして」(NHK長崎放送局・59分)
NNNドキュメント’21「毒ガスの痕 広島 ウサギ島の記憶」(広島テレビ放送・46分)

【ケーブルテレビ部門】
ながさき原爆記録全集 映画「広島・長崎における原子爆弾の影響」検証編(長崎ケーブルメディア・55.5分)
「からくり人形師」(大垣ケーブルテレビ・49分)
「成東駅列車爆破~終戦2日前の惨事~」(広域高速ネット二九六・30分)
「戦後75年目の懺悔-私は教え子を満州に送った-」(伊那ケーブルテレビジョン・29分)

【市民・学生・自治体部門】
「小さな命の意味~大川小 語り部10年~」(椙山女学園大学 栃窪ゼミ・24分)
「沼山からの贈りもの」(アウトクロップ・27分)
「あの日、ニレの木の下で」(稚内北星学園大学 樺太プロジェクト・31分)
「ルソンの祈り~順子ちゃんの戦場をたどって」(法政大学別府研究室・40分)

【高校生(中学生)部門】
「ストップ!見て見ぬふり~勇気の一歩を踏み出そう~」(富山市立堀川中学校・16分)
「飛び込め!ファーストペンギン」(エクセラン高等学校・8分)
「コロナの時代-いま私たちにできること-」(桜丘中学高等学校・23分)
「検証~津波に対する避難訓練はどうあるべきか~」(静岡大成高等学校・24分)

受賞作はじめ入選作品を上映する映像祭が11月19日(金)まで関西大学千里山キャンパス(阪急・関大前)で開かれている。上映時間は11時から18時まで。入場無料(一般参加当日受け付け※感染症対策のため、受付時に氏名・住所などの情報を記入する。会場の収容人数を超える場合は先着順)。

詳しい上映スケジュールは、「地方の時代」映像祭の下記ホームページで確認を。
https://www.chihounojidai.jp/guide/schedule.htm
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