【précieux 京都】#24 私たちの立誠小学校が生まれ変わった その②

precieux京都

立誠ガーデン ヒューリック京都
京都市中京区蛸薬師通河原町東入備前島町310番2


左 100年前も100年後も、自分はこの世にいない。しかし、川は変わらず流れているだろう。そんなことを思わせてくれる風景
右 ずっと見ていたい高瀬川一之舟入付近。高瀬舟が再現されている。

 

早くも憩いの場に。私たちに与えられた空間

秋の終わり、冬の始まり。11月末から12月下旬までの高瀬川沿いの美しさは、地味に際立つ。桜の季節は路地から人が溢れ、高瀬川に沿うように南北に延びる南一方通行の木屋町通りを進む車は、たびたびブレーキを踏まねばならない。それを知っている京都人は、避けて通ることになる。しかし、この年の瀬を迎えようとする時期は、観光客もひと段落して、比較的、ゆっくり歩くことができる。何となく気忙しさを感じながら、落ち葉が川面のあちこちに集まり、昔からあまり変わらないであろう静かな水と時の流れに思いを馳せるのだ。

2020年、私たちは多くの物やことを失った。今も落ち着かぬ、厳しい時を過ごしている。それだからこそ、新しい何かを得ると、とても嬉しく有難い気持ちになる。元立誠小学校跡の複合施設「立誠ガーデン ヒューリック京都」の「立誠ひろば」は、私たちに新しく与えられた空間だ。広がる芝生。自由に入ることができ、自由に楽しめる。京都の一等地に開かれた場所。高瀬川沿いにはベンチがなく、ゆったりと過ごせる場所がなかった。子どもに絵本を読み聞かせしていた京都市北区下鴨の廣瀬登紀子さんは「家に閉じこもりがちの4歳の子どもを時々、連れてきます。ソーシャルディスタンスもちゃんと取れて、有難い。ここは、待ち合わせの場所として指定されることも増えてきました。高瀬川もゆっくり見れて、私の一番のお気にいりの場所になりました」と笑った。有難い空間。その有難い「理由」を考えると、ちょっと切なくなるけれど。

 

左 京都で最も地価が高いとされる四条河原町交差点から歩いて5分足らずに、この空間
右 コレ、良いと思いませんか? 靴を脱いでひと休み

 

オープンから通って、特におすすめする3店

高瀬川沿いに待望のカフェが誕生

●ブルーボトルコーヒー京都木屋町カフェホームページはこちら→

写真左上 店内のコンセプトは元小学校の建物を意識して「学校にまつわるいろいろな緑色」と「学び」。
黒板や高瀬川の木々などからイメージした「緑」が基調
左下 ショップも充実。香港のメーカー「Papery」とのコラボで作ったマスクケース(1,200円)など、欲しいものがいっぱい
上右 毎日でも通いたい空間
右下 ひろばの芝生の上で風を楽しみながらのコーヒーとサンドイッチ。寒いけど、くつろげる

高瀬川西側に面した通路は無い。店は川に背を向けて連なっている。高瀬川の東側は狭い遊歩道だ。北の始点、一ノ船入から四条まで、木屋町通りから川を渡って入るカフェは無かった。いつも「このあたりにカフェがあればいいのにな」と思いながら歩いていたが、ついに!それも、コーヒー好きにはたまらない「ブルーボトルコーヒー」がやってきた。アメリカ・カルフォルニアで18年前に音楽家のジェームス・フリーマンが自宅のガレージで焙煎機を置いて開いたのが始まり。20年足らずで世界で100店舗以上を展開するブランドに。コーヒーが大好きなフリーマンが、「最高級のコーヒー豆を自社焙煎で」と、フレーバーのピークに合わせたコーヒー豆を提供してきた。

ブルーボトルコーヒーでは生豆のバイヤーが「スペシャリティグレード」と呼ばれる世界各地のスコア80点以上のスコアを持つ豆の中から、さらに季節などを考慮して厳選したものを、自社焙煎している。全てのバリスタが豆ごとに合ったお湯の温度、注ぐスピード、湯量、入れ方を会得しているのだから、おいしいコーヒーでないはずがない。木の実のようなフレーバーがたまらないドリップコーヒー「ウィンターブルームス ブレンド」(550円)はシビレるおいしさ。漬物「西利」のお漬物を使った「お漬物サンドイッチ たまご、山ごぼう、きゅうり」(700円)との組み合わせが、気に入っている。自家製マヨネーズと平飼い卵のエッグサラダと、2種のお漬物がすごく合う。京都では、お漬物を使った数々のコラボサンドが作られてきたが、いつも“微妙”だった。初めて「なかなかイケル」と思った一品。

 

 

台湾の名店が京都に初進出

●春水堂 京都木屋町店ホームページはこちら→


写真上左 南北に長い店内からは、広場が一望できる
上右 京都限定の「宇治抹茶豆花」(850円)。
豆花は豆乳からできた台湾の伝統的なスイーツ
下左 店の入り口で木川さん。オープン時に東京から駆けつけた時に撮影した際の写真
下右 季節ごとのおすすめなどを紹介する看板。ひろばから見ると、ひときわ目立つ

春に雪や氷が解けて流れる水と言う名を持つ春水堂。日本では「チュンスイタン」と呼ばれている。台北市にある本店はタピオカミルクティーの発祥の店とされ、人気だ。創業は1983年と比較的若く、創業者の劉漢介さんが台湾のお茶文化継承のために開いた。タピオカミルクティーは、もとは店員用に出していた飲み物を常連にも出していたら、あっと言う間にヒット作になった。

現在、日本での店舗を運営しているオアシスティーラウンジ(本社・東京)の代表取締役の木川瑞季さんはタピオカブームの仕掛け人と言われている。2004年から1年間、前職で赴任した台北で暮らした。その際に、春水堂に魅せられて通いつめ、日本にあればいいのに、といつも思っていた。海外に出ないという春水堂が日本に進出すると聞いて、誘致したオアシスティーラウンジに転職。タピオカミルクティーはじめ、台湾のスイーツなどを紹介してきた。今はコロナで大変だけど「台湾フェア」を開催するなど、挑戦し続けている。

「日本には2013年に代官山に初進出。その時から、京都に店が出したくて7年かけて場所を探しました。お茶は文化です。劉さんからも京都は格別な場所だから、文化的な場所に、と言われていました。台北の国立台湾美術館に店を出すなど、常に文化を意識してきたのです。まさに、ここは探し求めてきた場所です。嬉しいです」と晴れやかに話してくれた。
台湾と同じように日本でも提供するドリンクの品質を保つために「お茶マイスター」という独自の資格制度を設けていて、認定試験に合格した有資格者だけがドリンクを提供できる。ドリンクに使用するシロップは、オリジナルにブレンドした素材を使用。創業からずっと店舗ごとに約170℃の高温の鍋の中でヘラを動かして特製シロップを手作りしているなど、こだわりぬく。
代表的なタピオカミルクティー(500円)は今の時期もホットではなくアイスで飲むのがお勧め。レモンをその場で絞り入れる、生絞りレモンティーはホットで。飲むと、ああ、早くコロナが収束し、また台湾に行きたい、という思いが湧き出てくる。

 

発酵がテーマ。京都人の自慢となりつつある店

●AMACO CAFEホームページはこちら→

写真上左 スープからチョコレートまで並び、発酵食品博物館のような店内
上右 入り口のウインドウに並ぶ「AMACOブレッド甘麹熟成パン」
下左 ロゴの焼き印が可愛い
下右 パッケージデザインもかわいいAMACOのチョコレート

いつかは、こういう店ができると思っていた。AMACO CAFE (あまこうカフェ)は7席のカウンターに物販コーナーを併設している発酵をテーマにしたカフェ&バーだ。老舗が自らの技術を発展させて異業種に挑戦する。漬物だと発酵を使ってスイーツ、デリ、ソースなどかな。けれども京都は何かと難しいところ。老舗だからこそ難しいよね、と。挑戦したのは「京つけもの西利」だった。約40年前に本格的な発酵の研究を開始。独自培養の乳酸菌を用いた「自然純朴漬」を開発し、2017年には「京都発酵食研究所」を設立するなどして、発酵の可能性を模索してきた。そして生まれたブランドが「AMACO」。お米と麹で作られた栄養豊富な甘麹を、さらにラブレ乳酸菌で発酵させた「乳酸発酵甘麹AMACO」を使ってパンやスイーツを生んだ。

看板商品ともいうべき「AMACO BREAD甘麹熟成食パン」(21,296円、1756円税込)。店のスタッフによれば、5日間おいてもフワフワ、もっちりしているそうだ。そんなに待てずに、買ってすぐに手でフワッと割いて生のまま口に運んだ。かすかに麹の香りが鼻に上がってきて、甘味が広がり、止まらなくなって一気に半分くらい食べてしまった。「AMACO SWEETS CHOCOLATE」(ホワイト・ラズベリー・アソート各1,296円税込)。体にもやさしくて話題性もあるAMACOの商品を今年のお歳暮に送ったら、ものすごく喜ばれた。
そりゃ、そうでしょう、て感じ。

※ 表記がある以外は税別。新型コロナウイルス感染拡大防止対策で随時、営業時間などが変わる場合があるので、事前に問い合わせを。

 

 

 

※立誠ガーデン ヒューリック京都

京都市中京区蛸薬師通河原町東入備前島町310番2
「THE GATE HOTEL 京都高瀬川 by HULIC」
https://www.gate-hotel.jp/kyoto/

 

 


◆Writing / 澤 有紗

著述家、文化コーディネーター、QOL文化総合研究所(京都市上京区)所長。

京都、文化、芸術、美容、旅や食などなどをテーマに雑誌・企業媒体誌などの編集・執筆を担当するほか、エッセイなどを寄稿。テレビ番組や出版のコーディネート、国内外の企業の京都、滋賀のアテンドも担当。万博の日本館にて「抗加齢と日本食」をテーマに食部門をプロデュースするなど、国内外での文化催事も手掛ける。コンテンツを軸に日本の職人の技や日本食などの日本文化を「経済価値に変える」「維持継承する」ことを目的に、コーディネート活動を行っている。

主催イベントとして、日本文化を考える「Feel ! 日本 -日本を感じよう-」と、自分を見つめ直しQOLを高める「Feel ! 自分-QOL Terakoya Movement ? 」を定期開催。
https://www.qol-777.com

 

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