コロナ時代 親子でどう向き合う?

小中学生の2学期が始まります。先行きが見通せない状況の中でも、子どもたちの「学び」は続いていきます。不安定な環境に左右されず、子どもたちがたくましく育っていくために必要なことは? 保護者の関わり方は? 識者2人に聞きました。(伊藤真弘)

 

まずは大人から 心を整えよう

武庫川女子大学
文学部 心理・社会福祉学科 教授 倉石哲也さん

コロナ禍は自然災害と異なり、生活環境は保たれているものの、日常で行動が過度に規制される状態にあり、「あいまいな災害」とも呼べます。先行きに不安を感じるのは子どもも同じで、中・高受験を控えていればなおさらです。

子どもは、大人の関わり方によって「この人は自分を守ってくれるか?」を敏感に感じ取ります。不安を打ち消す声掛けや、「友達と遊べず寂しいね」といった共感的な大人の関わりは大切ですが、大人がイライラや不安を抱えたままだと敏感に察知。子どもを安心させるには、まずは日頃から大人が「心を整える」ことが肝要です。

とは言え、仕事に子育てに、様変わりした日常は保護者にとっても大変です。そんな時は無理に頑張らず、不安や疲れを言葉に出し、話を聞いてくれる人と思いを共有しましょう。祖父母の皆さんは現役の親として頑張るわが子の話に耳を傾けてください。孫を毎日支える親世代のサポートが健全な親子関係の維持につながります。

自宅を「安全基地」に

子どもがある程度の年齢であれば、親が子に「私もこんなことで疲れているんだ」と話すのもよいでしょう。子どもは「そんなことを打ち明けてくれる自分は信頼されている」と感じます。子どもと話す時は、対面で顔をしっかり見ると子どもが構えてしまうので、横向きで「何かをしながら」がおすすめです。運転席と助手席のような位置取りですね。例えばゲームをしている子どもに、さりげなく前向きな言葉を。無関心を装う子にも、きちんと伝わっています。

子どもにとって、家は「安心・安全な基地」でありたいですね。うまくいかず落ち込んだ時にそんな場所があるから、外で頑張れるのです。保護者は自分のメンタルに配慮しつつ、家が安心・安全な場所であるよう、保ち続けてあげてください。

●くらいし・てつや 神戸大学大学院人間発達環境学研究科博士後期課程修了。大阪府立大学助教授を経て2000年から武庫川女子大学へ。専門は「幼児期から思春期の子育て支援」ほか。1995年の阪神・淡路大震災では、自らも被災しながら、災害に苦しむ子どもや家族の心理ケアを行ってきた。

 

変わる価値観 自分の軸を大切に

認定NPO法人 コクレオの森
箕面こどもの森学園 校長 藤田美保さん

「子どもは自ら学ぶ意欲をもち、自らの力で学ぶことができる」という教育観に立ち、子どもたちの自立的な学びを支援するオルタナティブ・スクール(現在の公教育とは別の方針や理念で運営される学校の総称)を2004年から運営しています。
感染に配慮する日々は長期戦になると言われています。今後の感染状況によっては、学校は今春の休校時のように「時々機能しなくなる場所」になるかもしれません。不安定な環境に左右されないためにも、家庭での学びの重要性が今以上に注目されるかもしれません。

ただ、問題集をこなすだけが学びではありません。日常の当たり前が崩れた今だからこそ、「どんな人生を歩んでいきたいか」を子どもと話し合い、深めるチャンスにしたいですね。全員が同じタイミングで入学と卒業を繰り返す学校ほど「同じ歩み」を求められる場所は他にありません。しかし卒業したら、いつ就職して、いつ結婚するか、どこに住むのかはすべて自由です。長い目で「学ぶこと」「生きること」のビジョンを親子で描いてみてください。

「好きなことは何?」

私たちの学園は何を学びたいかの興味や関心を起点に、子ども自身が主体的に学習計画を組み立てます。一人ひとりが自分の人生を切り開く力を養い、卒業後は自分が大切に思う道をそれぞれ着実に歩んでいます。

子どもたちと接する時は「あなたが好きなことは何?」「自分で決めていいよ」が基本のスタンス。コロナ禍で価値観が大きく変化する中でも、自分の判断が大切と言い続け、子どもたちが自分の軸で物事を決めることを大切にしています。

人生を豊かに生きるには、どれだけ自分の興味・関心に合った道を歩めるかに尽きます。入り口は様々。もしかするとゲームや動画サイトの中にもあるかもしれません。親子で多彩な体験を通して、一緒に探してみてはいかがでしょうか。

●ふじた・みほ 小学校教諭を経て大学院に進学し、市民による学校づくりを目指す。2004年に「わくわく子ども学校」(現・箕面こどもの森学園)常勤スタッフとなり、09年から箕面こどもの森学園校長。学校づくりの理想像や苦労は「みんなで創るミライの学校~21世紀の学びのカタチ~」(築地書館・19年刊・共著)ほかにつづられている。

子育ての悩み 共有しよう

倉石教授と同様、「子どもと一緒に何かを楽しむためには、まずは大人の心に余裕が必要」と話した藤田校長。箕面こどもの森学園を運営する認定NPO法人コクレオの森では、保護者向けの講座「子育てカフェ」で、普段の子育ての悩みを保護者同士で話し合える場を設けるなど、親世代の対話・学びの場を様々に提供している(参加費要)。
8月23日(日)14~16時には、中学部の入学説明会(対象:小学6年、中学1・2年)を実施する。 https://cokreono-mori.com/

箕面こどもの森学園では、主体的な学びのスタイルが浸透する
(提供:認定NPO法人コクレオの森)




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カテゴリ: 教育

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