【終了】LEDで再現した日の光の移ろいとともに味わう五番立能「神・男・女・狂・鬼」12/16(日)山本能楽堂

 かつて江戸時代には能は、狂言をはさんで五番(5演目)を1日かけて上演するのが本式だったといわれている。上演順は演目の内容によってほぼ決まっており、「翁」から始まり、「神(しん)・男(なん)・女(にょ)・狂(きょう)・鬼(き)」の五番立だったそうだ。この趣向を盛り込みつつ、スピーディーな現代にふさわしく仕立てたユニークな能公演が、12月16日(日)14時から大阪市中央区の山本能楽堂で開かれる。

 五番立の順は――。清浄な朝の光の中では神をシテとする「初番目物」。続いて武将の亡霊など死者が多く登場し、男性が主人公となる「修羅物」。昼ひなかの明るい陽光の下では女性が主人公となる「鬘(かずら)物」。日輪が傾きかけた昼過ぎには「狂女物」「狂い物」と呼ばれる物狂いをシテとする能やカテゴリーに属さない特殊な演目を。そして夕闇迫るころには鬼、天狗、妖精、龍神などがシテとなる「切能物」が演じられてきたという(そういえば、黄昏時を指す言葉に“逢魔が時”というのもありましたね)。

本舞台を照らすLED照明の位置を示す藤本隆行さん(右)。正面席からは見えないが、橋掛りやバックヤードも含めると約20カ所にあるという。山本章弘さんは「LEDのある能舞台は、全国でもここだけなのではないかと思う」と話している

 国登録有形文化財の山本能楽堂は、国内でも珍しいLED照明を備えた能楽堂だ。LEDの光の三原色(RGB)で再現できる色の数は1670万段階もあるそうだ。

 代表理事で観世流能楽師の山本章弘さんは「江戸時代の能は屋外で見るものでしたから、上演の順番と、日の出から日没までの太陽の光の移ろいは何らかの関連があったのではないでしょうか。今では、能を見るのに1日という長い時間を費やせる人はまれでしょう。そこで、LED照明デザイナー藤本隆行さんに光の移ろいの演出をお願いして、順番を守った演目をギュッと圧縮したダイジェスト版に仕立てた公演をすることになりました」と話す。

 今回上演する演目は比較的ポピュラーなものから選んだ「高砂(たかさご)」「敦盛(あつもり)」「熊野(ゆや)」「巻絹(まきぎぬ)」「土蜘蛛(つちぐも)」の五番立。暗転なしで一連の作品のように上演するという。

 

高砂
敦盛
熊野
巻絹
土蜘蛛

 

 

 

 

 

 

 

 LED照明デザイナーの藤本さんは「山本さんとの縁で、能の舞台照明を年に数回ずつ手掛け始めて7年余りになります。それで思ったのは、絢爛豪華な能装束は、スポットライトの役割を持っていたのではないかということ。金糸銀糸は均等な光の中でもとても目立つ。今回は光の射す角度や色、時間を調整して、日の光の移ろいを再現できれば」と語る。

 山本さんは「公演時間は約2時間を予定しています。江戸時代にタイムスリップしておもちゃ箱をのぞいているような気分を味わってほしい」と結んだ。

 

 【公演情報】12月16日(日)14時開演(13時30分開場)。山本能楽堂(地下鉄谷町4丁目)。料金は前売り5,000円、当日6,000円。予約・問い合わせは山本能楽堂、TEL06・6943・9454へ。ホームページからも予約できる。

 山本能楽堂のホームページはコチラ http://www.noh-theater.com

 




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