映画「わたしは光をにぎっている」 主演の松本穂香・中川龍太郎監督インタビュー 11月22日(金)関西で公開

 田舎から都会に移り住んだ少女の姿を描いた映画「わたしは光をにぎっている」が、11月22日(金)から関西の劇場で公開される。主人公・宮川澪を演じた松本穂香(22)、中川龍太郎監督(29)がPRのために来阪した。

映画「わたしは光をにぎっている」のPRで来阪した中川龍太郎監督(左)と主演の松本穂香=10月25日、大阪市北区

 舞台は東京の下町。主人公の宮川澪(松本穂香)は、祖母が入院したのをきっかけに上京。父の友人である三沢京介(光石研)を訪ね、彼が経営する銭湯「伸光湯」の一室に居候する。仕事探しを始めるが上手くいかず、「目の前のできることから、ひとつずつ」との祖母の言葉をきっかけに、居候先である銭湯の仕事を手伝うようになり――。

 コミュニケーションが苦手で、映画序盤では都会の空気にうまくなじめない澪。松本は自身が演じた役について、「澪は話さないことで身を守り、自分から行動を起こさないことで、今の状態を維持しようとする。その気持ちは私自身にもあるもので、とても共感できた。でも、その一方で彼女は自分の考えもしっかり持っていたので、単純に弱い存在としては演じたくなかったんです」と語る。

 ストーリーとともに印象に残るのは、葛飾区立石をはじめとする、どこか懐かしい街並みだ。中川監督は今作の舞台と同様に、下町の雰囲気がある川崎市登戸で生まれ育った。「久々に訪れると区画整理でビルがたくさん建っていて、『ここはおれのふるさとじゃない』という気持ちになった。映画というメディアの大事な一面として記録性がある。将来、自分に孫ができた時に日本にはこんな景色があったことを伝えたくて、街の一瞬一瞬を丁寧に映像で残した」と明かした。

©2019 WIT STUDIO / Tokyo New Cinema

 役作りについても風景を重視して撮りたいとの思いから、「登場人物が景色に溶け込んでいるようにするため、過剰な役作りはせず、俳優さんにはわりと自由に演じてもらった」と中川監督は振り返る。松本は「自然体で演じることができたので、自分が出演した映画なのに純粋に観客としても楽しめました」と話す。

 松本は作品を通じて、居場所がなく困っている人たちにエールを送る。「やりたいことがなかったり、何かをすぐに投げ出したりして、自分のことをダメだなと思うことってたくさんある。でも、まだ出会えていないだけで、自分の好きなことや向いていることは、きっとどこかにあるはず。この映画を観た方が澪のように様々なことや色々な人と向き合って、大切なものを見つけてくれたらうれしい」

 「わたしは光をにぎっている」はシネ・リーブル梅田(11月22日<金>公開)ほか全国にてロードショー。




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