伊礼彼方・昆夏美「ミス・サイゴン」 30周年へ意欲
舞台に上がれる感謝と責任をかみしめて

ベトナム戦争末期のサイゴン(現・ホーチミン)を舞台に、国によって引き裂かれたベトナム人女性と米国人男性の愛と悲劇を描くミュージカル「ミス・サイゴン」が、9月9日(金)~19日(月・祝)、大阪・茶屋町の梅田芸術劇場メインホール(阪急大阪梅田ほか)で上演される。同公演に出演する伊礼彼方と昆夏美がこのほど、大阪市内で取材会に出席。日本初演から30周年を迎える大ヒット作への意気込みを語った。

「ミス・サイゴン」へ意気込みを語った伊礼彼方(右)と昆夏美=4月、大阪市内で

名作「レ・ミゼラブル」のクリエーティブチームが手がけるミュージカル第2弾として製作され、日本では1992年の東京・帝国劇場でのロングラン以来、通算上演回数が1463回を重ねる「ミス・サイゴン」。エンジニアの経営するキャバレーで知り合ったベトナム人少女キムと米兵クリスの二人の愛、別離、運命的な再会、そしてキムの子・タムへの究極の愛をすべて歌で表現する同作は、音楽、スケール、大きな感動がファンの心を捉え続けきた。

伊礼は初めて演じるエンジニアの役柄について、沖縄出身の父と南米チリ出身の母のもと育った自身と重ね合わせ、「彼もフランスとベトナムのハーフ。人間をモノのように扱う非道で危うい面があるけど、戦争と時代に翻弄され、仕方のない生き方だったのかもしれない。言葉も文化も違う中、自分の居場所を探す孤独な心境は幼少の頃の自分に通じるところがある」と思いを巡らせる。

昆は2014年から演じるキムの演技に一層磨きをかける。「閉ざされた世界に生きていた彼女がクリスやエンジニアと出会い、人生を大きく変えていく。当時はキムのような女性がたくさんいたと思う。おとぎ話ではない女性像を責任を持って演じたい」と意気込む。

本来は2020年に予定されていた公演。コロナ禍で中止となり、約2年を経て舞台が実現する。「この2年で引き出しが増え、前に突き進むパワーにもいろいろな出し方があることを学んだ。いま世界では大変な思いをされている人がいる。健康で舞台に上がれていることに感謝しかなく、最後の公演まで舞台をお届けしたい気持ちでいっぱいです」と伊礼は語る。

昆は「作品を成功させたいという思いに加えて、今回は楽しみに待ってくださっているお客様に届けたいという気持ちがいつも以上に強い。30周年に向け、カンパニーが一致団結してポジティブに進んでいきたい」と話していた。

エンジニアは市村正親、駒田一、東山義久と、キムは高畑充希、屋比久知奈との交互出演。公演情報、出演キャストなど詳しくは、公式サイトで。https://www.umegei.com/miss-saigon/

 




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