観客の想像力を刺激して魅せる いいむろなおきマイムシアター「心象スケッチ~宮沢賢治の世界~」3/23(土)西宮で公演

「僕のプロフィルに『関西生まれのおフランス育ち』と書いてありますが、クスッと笑えるところも入れたい」と話すいいむろなおき=2月15日、大阪市西淀川区のスタジオ1166で

いいむろなおきマイムシアター「心象スケッチ~宮沢賢治の世界~」が、3月23日(土)14時から、兵庫県立芸術文化センター阪急中ホールで上演される。

未来に語り継ぎたい詩人の作品を素材に、現代の作家・演出家・役者とタッグを組み、新たな物語を生み出す同センタープロデュース「100年の詩物語」の第2弾。第1弾は2022年11月に“神戸の詩人さん”として親しまれた竹中郁の詩を題材に、劇団MONO代表の土田英生が作・演出を手掛けた朗読劇「アネト~姉と弟の八十年間の手紙~」 だった。

今回の舞台は、異次元のパフォーマンスで魅了するマイム俳優・いいむろなおきとのコラボレーションで、宮沢賢治の世界をマイムと映像を通して舞台化する。映像は吉光清隆(PLAYSPACE)が担当し、身体で作る世界を後押しするという。自身の作品を“心象スケッチ”と呼んだ宮沢賢治の幻想的な言葉の数々と、マイムをベースにした俳優たちの動きが、どのようにコラボレーションし、舞台に立ち上がるのか――。一度限りの公演なので、見逃せない。

宮沢賢治の世界とマイムとの共通点

スタジオでの練習風景

マイム(無言劇)といえば、パントマイムが有名だが、それはマイムの中の1ジャンルに過ぎない。兵庫県立宝塚北高校演劇科を卒業後、渡仏してパリ市マルセル・マルソー国際マイム学院で学び、1997年までパリを拠点に活動したいいむろは「マイムは言葉を使わない分、わかりにくいと思われがちだが、逆に足りないことで、演じる側には縦方向に上がっていく表現技術があると思う。コミュニケーションは視覚情報から伝わるものが6~7割といわれる。マイムは見る人の想像力を借りながら刺激して、イメージを膨らませていくことができる」と話す。

「宮沢賢治はこれまでに何度か断片的に取り上げたことがあり、いつも引っ掛かりつつ、一度きちんと取り組んでみたいと思いながらなかなかその機会がなかった人。去年から花巻に行ったり、賢治の作品を改めていろいろと読んだりしてきたが、調べるほどに彼の37年の人生の深さにはまってしまい、まるで沼にはまっていくよう。

『注文の多い料理店』の序文に賢治は『何のことだか訳が分からないでしょう。そんなところは私にもよくわかっていないのです』と書いている。本人の中でよくわかっていないものが、誰かほかの人に渡った時に、その人の中でイメージが広がる。そこはマイムとの共通点だと思う」

全体を貫くテーマは光と影にした。「『春と修羅』の序文に、『私という現象は仮定された有機交流電灯の一つの青い照明です』とあり、賢治の死後に父が賢治の生を、ぱあーっと白い光を放って消えてしまった電球に例えたりしている。そんな明滅するイメージが面白いと思って全体のテーマに据えた」そうだ。

賢治が残した約800編の詩と約100編の童話の中から、多数の詩の断片を取り上げて、立体化する。「この作品だとハッキリわかるのは『雨ニモマケズ』、童話だけどポエティックな『やまなし』『農民芸術概論綱要』『永訣の朝』など6~7編。例えば最も有名な詩『雨ニモマケズ』は、発表することを目的に書かれたものではなく、賢治の死後にトランクの中から発見された作品で、サウイフモノニ ワタシハナリタイと書いている。“ナル”ではなく“ナリタイ”。そういった部分の柔らかさも出したい」

大阪市西淀川区にあるいいむろなおきマイムカンパニーのスタジオで取材した2月15日は、公演まで約1カ月。「賢治が作ったものを、一度僕の中で粉々にして再構築しようとしている。言葉を中心に作っていきながら、だんだん言葉を排除して、残ったものの純度を上げていくイメージ」と話しながら、賢治マニアの人たちに嫌われないかは気になるという。「原作に対するリスペクトを持ちながら、あくまでも、僕から見えている賢治の心象をたどる作品」と強調した。

オーディションで選んだ6人といいむろが出演

出演者は昨年9月のオーディションで全国から選んだ。オーディションでいいむろは2人組でのパフォーマンスを課すという。「相手を上手に見せてあげたり、相手に自分のパワーを分けてあげられる人を選びたい」からだ。選考には衣装・アートディレクション担当の田中秀彦(iroNic ediHt DESIGN ORCHESTRA)と一緒に臨んだが、同じ人選だったので自信を持っているという。

公演のチラシは、阪急中ホールで撮影した。(写真左から)東京2020パラリンピック開会式にも出演した今注目のダンサー・梶本瑞希、いいむろなおきマイムカンパニーの田中啓介、羽田兎桃、いいむろなおき、多方面で活躍する小松阿弥、三田みらの、外岡玲真

いいむろは「私たちのカンパニーの公演には聴覚障害のある方もよく来場される。賢治マニアも、賢治をあまり読んだことのない人も、いろいろな方に楽しんでいただける舞台にしたい」と結んだ。

料金(全席指定・税込み)は一般3,000円、観劇当日に25歳以下の人が対象のU-25チケット1,500円(生年月日のわかる身分証の提示が必要)。受付筆談対応、手話通訳あり。予約・問い合わせは芸術文化センターチケットオフィス、TEL0798・68・0255(10:00~17:00/月曜休み)。

公演の公式サイトはコチラ https://www1.gcenter-hyogo.jp/contents_parts/ConcertDetail.aspx?kid=5032412107&sid=0000000001

 




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