縄文人もびっくりの「縄文洋食」 西宮の名門洋食店が提供 

 西宮市高松町の洋食店「洋食とワインのお店 土筆苑」が、古代の食文化を現代風にアレンジした「縄文洋食」を12月6日から提供する。創業45周年を機に、シェフの大谷隆史さん(40)が太古の暮らしと食生活に思いを馳せ、腕をふるった。

 

 かつて、店の真向かいに阪急西宮スタジアムがあった土筆苑は1973年の創業。この8月には「味の記憶越え」をテーマに、当時阪急ブレーブスの選手や球場を訪れるファンに絶大な支持を受けた「ステーキサンド」を復刻させた。1980年代に失われたレシピの味を、当時の味を知る人の話を集めてよみがえらせ、話題となったばかりだ。

 今回、新たな試みとして「味の時空越え」をテーマに、縄文時代に使われていたであろう食材を、大谷さんが文献資料をもとに推測して現代風にアレンジ。縄文時代に狩猟、採取していたとされるイノシシやシカ、クルミなどを食材に、洋食のプロならではの創意工夫を加え、3種の「縄文洋食」を誕生させた。

 

 「縄文ハンバーグ」は、豚や牛の代わりに丹波産のイノシシとシカの肉を使用。古代麦から作ったくるみパンをもとにしたパン粉を「つなぎ」として使う徹底ぶりだ。また、縄文時代の遺跡から木の実などをすりつぶす磨石や石皿も出土したことから、ハンバーグの味付けに使うスパイスは、古代塩、乾燥ハーブ、ナッツなどを、客自らが石皿ですりつぶす。大葉やニンニク、カシューナッツのほか、ヒマラヤの岩塩、イタリアの海塩などをミックスしたスパイスは、クセのないまろやかな肉と相性がいい。

提供時は、焚き火をイメージしたクルミの木のスモークで、香りづけをする遊び心も
ゴリゴリとすりつぶし、気分は縄文人?

 火山に見立てたドーム状のチョコレートが最初にサーブされる「縄文デザート」は、驚きの連続だ。温かなココナッツミルクをスタッフが上からかけると、チョコが溶けて崩れ、中から「氷河」に見立てた透明なレインドロップケーキが現れる。それだけでも驚きだが、さらにその氷河をスプーンやフォークで割ると、古代をテーマにした“あのアニメ”で見たような、マンモスの骨付き肉が“発掘”できる。一連のサプライズを楽しんだ後の味も、チョコやココナッツソース、ミックスベリーなどの相性と甘さのバランスが計算しつくされ、さすが名門洋食店とうなるほどの完成度だ。

チョコの「火山」が溶けると、驚きの連続が
チョコがきれいに溶けるよう、ココナッツミルクの濃度は研究を重ね何度も調整
骨はメレンゲで、肉はロールケーキで表現した

 「縄文サングリア」は、縄文時代に乾燥技術があったと推測されることから、サングリアに通常使う生のフルーツではなく、ドライフルーツを使用。マンゴー、黄桃、キウイなど7種を12時間かけて乾燥させる。香りと甘みが凝縮されたドライフルーツをワインに混ぜ、真空パックしたのち冷凍→解凍と手間ひまをかける。これにより、果物の甘みがワインにより深く浸透するという。※赤・白/各500円(税別)

通常濁ってしまうサングリアも、ドライフルーツを使うことでクリアな見た目に
シェフの大谷隆史さん

 「レシピのない、イメージや想像から生まれたものを具現化する力が自分にはあるのか? 料理人として追求してみたかった。文献や資料を見ながら想像し、推理する過程はとても楽しかったです」と大谷さん。「ビジュアルはもちろん、香り、味、食感とすべてを楽しんでもらえる料理ができた。タイムスリップした縄文時代の人もきっと、おいしい!と言ってくれるはず」と自信をのぞかせる。

 震災後の2002年に西宮スタジアムが閉鎖。宅地開発が進み、08年には阪急西宮ガーデンズがオープンするなど、変わりゆく西宮北口の街とともに、店の歴史を刻んできた。「料理店の伝統は、レシピではなく『進化すること』によってつながれると思っています。西宮の街と一緒ですね」。さらなる進化を目指し、料理人としての挑戦をこれからも続けるつもりだ。

 現在、「縄文ハンバーグ」と「縄文デザート」がセットになった「縄文洋食セット」を1日10食限定で提供中だ。3300円(税別)。17時~23時のディナータイム限定で、1日前までに要予約。℡0798・65・3366(月曜休)

https://www.tsukushien.com/




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