ニシンのマリネに豚の血のソーセージ、本場パリの味
【Café de l’Industrie】【Au petit panisse】フランス・パリ

関西・オンナの美酒佳肴

 

ニシンのマリネに豚の血のソーセージ、本場パリの味

【Café de l’Industrie】【Au petit panisse】フランス・パリ 

 

 お祝いの会にお招きいただいて、急遽行くことになったフランス・パリ。一人旅だから観光地をめぐるよりもホテルをベースに街を楽しもうと決めた。ホテルは凱旋門から歩いて5分ほどの場所で、店やオフィス、そして住宅もあるおしゃれなエリア。デリで買ったバゲットサンドを食べながら歩いている人やカフェテリアでビールを飲む人、何気ない日常の風景が妙にかっこよく見える。

 

ニシンのマリネ
ニシンのマリネ

 お祝いの会以外はフリーなので、パリに留学してカメラマン修業をしている元スタッフのnanaoに連絡をとり、「名所よりも住んでいる人が普通に利用する店に行きたい」と案内してもらった。
 選んでくれたランチの店はバスチーユ広場に近い“Café de l’Industrie”。古びたドアや窓のサン、フロアにある螺旋階段も趣がある。フランス語はわからないので、黒板に書いてあるランチメニューを解説してもらって注文したのは、“Hareng Maatje, pommes à l’huile”という、ニシンのマリネにじゃがいもの付け合せがついたもの。マリネしたニシンは半生状態で、そのやわらかい身にほどよい酸味が染み込んで、ビールにぴったり。あとで調べたら燻製にしたニシンを使ったものもあるそう。私が食べたのは燻製してあったのかなぁ…。

ブータン・ノワール
ブータン・ノワール

2日後のディナーは、nanaoの母、ricaさんも一緒。子育てが一段落したから好きなことをしようとパリに語学留学中で、母娘それぞれ一人暮らしでパリの生活を楽しんでいる。
 私がメトロの待ち合わせ駅を間違えたばかりに、ずいぶん心配をかけてしまったが、無事に合流してricaさんが気になっているというビストロ“Au petit panisse”に向かう。
 ドアが開け放たれてテーブルが外にもある開放的な店は、隣の席と近くて、なんとなく大阪にある昔ながらの喫茶店みたい。踊るように軽やかに歩き、お客さんに話しかける店員さんの親しみやすさも大阪っぽいけど、とってもおしゃれ。
 さて、いくつか頼んだ中で印象的な料理は、“Boudin noir”という、豚の血と脂肪に玉ねぎを加えたソーセージ。鉄分たっぷりでちょっとクセがあるけれど、スパイシーなソースと一緒に食べると、赤ワインによく合う。パテ、チーズ入りラビオリ、蛸のグリルも本当に美味しかった。

 

ボリューム満点のデザート
ボリューム満点のデザート

 デザートも食べてみようと3人ばらばらのものを注文すると、どれもボリュームがすごい!日本なら小さなティラミスで食後酒をといくところだけど、お皿いっぱいのティラミスにもうお酒はギブアップ。

 飲んで食べてしゃべって、あっという間に時間は過ぎたが、6月のパリは22時前でも明るくて夕方のような感覚。日本にいたらまだこれから飲むぞ!という時間だけれど、知らない街なので、早めに帰ることにする。22時をまわるとようやく暗くなり、メトロの駅からホテルまで一人で歩くちょっとした緊張感もまた旅の醍醐味だった。

 


◆ Data
Café de l’Industrie
16 Rue Saint-Sabin, 75011 Paris

Au petit panisse
35 Rue de Montreuil, 75011 Paris


◆ Writing / 松田きこ
(株)ウエストプラン代表。兵庫県西宮市在住。食・観光・人物取材に日本中を飛び回る。ライター歴20年以上。編著書「神戸・阪神間 美味しい酒場」「くるり西宮・芦屋・東灘・灘」「くるり丹波・篠山」他
http://www.west-plan.com/