オーセンティックバーでオルタナティブカクテル
【サヴォイ オマージュ】神戸・花隈

関西・オンナの美酒佳肴

オーセンティックバーでオルタナティブカクテル

【サヴォイ オマージュ】神戸・花隈 

坂が多い街・神戸。夕刻、花隈界隈に行くと、いつも坂道をかけ上がってマンションの1階にある店に向かう。16時から開いている、ヨーロッパの古いカフェのような雰囲気のバー、「サヴォイ オマージュ」だ。サヴォイの名は、聞き覚えがある人も多いだろう。1967年に神戸で開業し、2007年惜しまれながら引退した小林省三さんのバーだ。この小林さんの最後の弟子が、サヴォイ オマージュのオーナーバーテンダー森崎和哉さん。かつてのサヴォイの雰囲気に似ている店だから、この名がついた。


オーナーバーテンダー森崎和哉さん

久しぶりに訪れると感染症対策として、人数制限や消毒などのルールが徹底されているほかは、雰囲気は変わっていなかったし、明るいうちからお客さんがいる風景も同じだった。
世の中がめまぐるしく変化する中、彼が手掛けているのはオルタナティブアルコール。Alternative=代替、つまりノンアルコールのお酒だ。
健康志向から欧米ではすでにブームになっており、ハーブやスパイスにビネガーを加えて、アルコールのような味に仕上げている。ノンアルコールドリンクは、やむを得ず飲むもので、本気で美味しいと思ったことはないが、バーテンダーのコンテストで世界一に輝いた森崎さんが作るならと試してみた。


「SOSO(楚々)」

「SOSO(楚々)」はつぶしたミョウガに、ベルガモットの香りの緑茶、エルダーフラワーシロップに純リンゴ酢を加え、ソーダサイフォンで炭酸にしたもの。飲んだあとにグッとくる深みがリンゴ酢の力だ。大葉とミョウガの見た目も和風だが、和食に合う味にと聞いて納得。飲む酢が流行ったことがあるが、ツンとしてちょっと苦手だったが、これはあと味がいい。年齢と共に飲めなくなってきたと言う友人も多いから、これはおすすめかも。


左/サニーブレッシング、右/ガーネットラブ

この日は熱のこもった打ち合わせを終えてから立ち寄ったので、オルタナティブだけで終わるのは物足りない。ということで、オルタナティブのレシピにアルコールを加えてもらった。今回開発したものは、味が明確なので、お酒を加えるとさらに味が引き立つそうだ。

ジャスミンティーとフルーティス・ピーチライチを合わせ、ソーダで割った「サニーブレッシング」にはウオッカを。黒烏龍茶にとフルーティス・ざくろラズベリーを合わせた「ガーネットラブ」にはブランデーを。どちらもイケてる味。フルーティスとは、今年発売になったビネガードリンク(ミツカン)で、やわらかな酸味と程よい甘さが特徴。ジュースみたいなノンアルのイメージが覆されたのは、このビネガードリンクのおかげなのか。「通常でもカクテルに少しビネガーを入れてテクスチャを変えることがありますから」と、森崎さんが言うように、酢の力はすごいのだ。

実はこのオルタナティブアルコールの仕掛人は、森崎さんと共通の知人であるフードジャーナリストの曽我和弘さん。森崎さんらのレシピを約20種類公開し、京阪神間の45店舗で提供している。11月末まで一斉にメニュー展開するが、店ごとのオリジナルレシピも増えているようで、「新しい時代の新しい味」として広まりそうな気配だ。アルコールが苦手な人も酒席を楽しめる。私も車のときは、これを飲むことにしよう。

 


◆ MENU(税別)
SOSO(楚々) 1,200円
サニーブレッシング 900円
ガーネットラブ 900円
チャージなし
サービス料 10%

◆ Data
サヴォイ オマージュ
電話:078-341-1208
住所:兵庫県神戸市中央区下山手通5-8-14 1F
営業時間: 16:00~24:00
休み:日曜


◆ Writing / 松田きこ(ウエストプラン)
http://www.west-plan.com/