北野坂の象ビルで、酒好き女子が集う日本酒の店

関西・オンナの美酒佳肴

 【酒舟 天 / ささぶね てん】神戸市中央区 

この冬、東門通りのビルから北野坂の象ビルに移転したと連絡をもらって、ようやく行けたのは3ヶ月後のことだった。ビルの下にある象が目じるしのこのビル、道に迷いがちな年上の女性たちとの会食にはうってつけだ。エレベーターを4階で降りてドアを開けると、白い割烹着姿の女将、ふくちゃんこと福原昌代さんがいつもの笑顔で迎えてくれた。

店内は、前の店より広くてゴージャスな雰囲気。カウンターの端っこに座って小さいビールをもらう。飲み仲間とのルールは、現地集合で先に着いた人から飲んでいい、ということ。ほどなくして、あきこさんが「なつかしい!私が大学生の頃にできたビルよ」と入ってきた。横浜育ちのともこさんも「象を目指して坂を上ったらすぐにわかった」と元気に席に着いた。

予約の際に頼んでおいた肴の盛り合わせプレートが出されると、彼女たちは「え!」と声を上げた。11種類の手作りの料理に驚いたのだ。新じゃがマヨサラダはバター風味、豚肩ロース、うすい豆の玉子とじ、菜の花にホタルイカ、シマアジの南蛮漬け、パプリカの甘酢漬け等々…。「こんなに手間がかかるのを一人で作るの?」とあきこさん。そう、ふくちゃんは料理が大好きで、一つ一つが本当においしいのだ。

日本酒はすすめられるままに月山から。さっぱりきれる飲み心地のあとに旨みが広がってくる。どんな味がいいですか、と聞かれて「もうすこしさっぱり」「同じものをもう1杯」と、何杯も飲んだ…ような気がする。1合、半合ともに微妙に大きめのグラスに注がれるため、つい飲みすぎてしまうのは、前の店と変わっていない。

おかわりした濃厚チーズ豆腐(380円)は、豆乳、生クリーム、クリームチーズで手作りしたもので、わさびと出汁醤油でいただく。他にもいくつか料理を追加したけれど、あっという間に食べてしまって記憶は定かではない。

ふと気付けばカウンターは全席うまっていて、それも全員女性。一番奥で手を振っているのは、近くのラウンジの幸子ママ!。こんな偶然があろうかと、席を移動してお互いに近況報告。酔った勢いで共通の友達に写真を送ったり電話をかけたり、なんだかはちゃめちゃな時間だったけど、外飲みができず人に会えなかった時期を埋めるように、皆がはじけるような笑顔を見せていた。日本酒と家庭料理、そして他愛も無い会話と笑顔、やっぱりいいな、こんな時間。

 



◆ MENU(税込)

生ビール550円
日本酒半合750円~
お一人様肴の盛り合わせプレート1,900円~


◆ Data

酒舟 天
電話:078-335-8868
住所:兵庫県神戸市中央区中山手通1丁目22-10
象ビル 4階
定休日:月曜
営業時間:火曜~土曜 17:00~23:00(LO22:30)
日曜 15:00~21:00(LO20:30)

◆ Writing / 松田きこ(ウエストプラン)
http://www.west-plan.com/

 

※新型コロナウイルスの感染拡大防止のため対策した上で取材・撮影しています。
※お出かけの際は府県が発表する最新情報とお店の営業状況をご確認ください。