果物ベースのクラフトビールと発酵料理で夏が始まる

関西・オンナの美酒佳肴

 【ゴールデンラビットビール】近鉄奈良 

近鉄奈良駅を降りて商店街を抜けると町並みがぐんとレトロになる。雰囲気のよさそうなカフェや飲み屋があって、散策するのが楽しい。今回再訪したのはタップルームでクラフトビールが飲める店。造り手の個性が生きるクラフトビールはどれも面白いが、かつて行った「ゴールデンラビットビール」は特に印象的だった。

ゴールデンラビットビールは製薬会社の社員である市橋健さんが、2015年に作った醸造所。「副業です」というけれど、ビールや料理の内容を知ると、会社員をしながらどうやってこのレベルまでできるのかと驚かされる。「ビール造りに興味があったことと地元奈良を盛り上げたいから」と、薬や化粧品の研究で得た知識をつぎ込み、次々に新商品を開発している。会社の方はリモートワーク中心とはいえ、休みはなさそうだ。

タップルームは醸造所の2階で、タップから注がれるビールを見るだけで喉が鳴りそう。定番の「そらみつ」はさわやかな酸味がすっときれるピルスナー。「しろたへ」は小麦麦芽80%以上で麦の風味をしっかり感じるホワイトエール。「あをによし」はコクのある苦味があり、シトラスの香りが特徴の赤いビール。ネーミングは古事記や万葉集に書かれている奈良にかかる枕詞だ。日本古来の言葉はなんとなく耳に心地よい。飲んでみると、どれもしっかりと味を主張するのにあと味がさわやかだ。

「ひのひかり」は、その名の通り国産米の特Aを使った贅沢なビール。

旬の果物を使ったビールも季節限定で造っている。奈良の特産品である、あすかルビーや古都華も、市橋さんの手にかかればピンク色のビールになるのだ。無添加で自然の色素を生かし、限りなく透明に近い色を出せるのはゴールデンラビットビールの技術力だ。あすかルビーで造った「あすかビール」、マンゴーで造った「スイートマンゴー」といったフルーツビールは、さわやかな甘さで苦味を感じず、まるでジュースのように飲めてしまった。

料理はビールや発酵を中心としたもの。クワトロフォルマッジ(4種のチーズのピザ)は、生地がとっても香ばしくて、生地だけでもお代わりしたいくらい。イタリア産の粉にビール酵母を加え、さらに水ではなく、自社のビール「しろたへ」を加えて作る。ピクルスはビネガーに「そらみつ」とハチミツを加えて漬け込み風味豊かに。フライドポテトがカリッとしてスパイシーなのは企業秘密の製法で教えてもらえなかったけれど、ほんとにどれもビールが進む味だった。

 



◆ MENU(税込)

タップルーム
各種ビール935円~
4種のチーズのピザ1,430円
フライドポテト550円
そらみつピクルス484円


◆ Data

ゴールデンラビットビール
電話:0742-77-0944
住所:奈良市東寺林町30
◎タップルーム
定休日:月~木曜、不定休
営業時間:金曜19:00~21:00、土曜11:00~21:00、日曜13:00~17:00
◎ショップ
定休日:月・木・不定休
営業時間:10:00~17:00

◆ Writing / 松田きこ(ウエストプラン)
http://www.west-plan.com/

 

※新型コロナウイルスの感染拡大防止のため対策した上で取材・撮影しています。
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