日本の美は、北陸にあり!?【富山編】
寿司に豊かな食文化が凝縮 静かに息づく伝統に出会う

JR西日本と、富山・石川・福井の3県でつくる北陸三県誘客促進連携協議会は、早春の北陸の魅力を発信する「Japanese Beauty Hokuriku」キャンペーンを3月31日(木)まで開催している。「日本の美は、北陸にあり。」をテーマに、美食、美観、美技、美湯、美心の5つの美をキーワードに、北陸らしい旅の魅力が実感できる企画を各地で用意している。感染症対策を取りながら、観光客を温かく迎えようと力を注ぐ地元関係者のコメントとともに、富山、石川、福井の3回に分けて紹介する。

 

大阪駅から約3時間
サンダーバード&北陸新幹線で富山へ

北陸新幹線で富山へスムーズにアクセス

大阪駅から特急「サンダーバード」で約2時間45分。金沢駅で北陸新幹線に乗り換え、あっという間の20分ほどで富山駅へ着いた。2015年の新幹線開業後、しばらく続いた駅前の整備工事はほぼ終わり、数年前とは装いを一新。中心部や富山港方面と結ぶ市内電車も駅高架下に直接乗り入れ、移動がとてもしやすくなっている。

 

天然の生けす 「富山湾鮨」
セットクーポンで気軽に舌鼓

富山の繁華街・総曲輪にも近い「写楽」

駅前の通りを南へ歩いて約15分。旅の始めに早速腹ごしらえと、人気の寿司店「写楽」を訪ねた。富山は立山連峰をはじめとした3,000メートル級の北アルプスから最深1,000メートルの海底へ豊かな川の水が一気に流れ込む富山湾を抱える。“天然のいけす”とも言われる豊かな海であがる新鮮な海の幸を、定額で気軽に味わってもらおうと「富山湾鮨セットクーポン」を販売。富山県産米のシャリと旬の地魚を使った寿司10貫に、富山らしい汁物、クーポン利用者だけの特典が付いて、3,500円均一(税込み)で提供されている。

新鮮なネタが豪華にそろう「富山湾鮨」。この日は1貫サービス中だった(現在は終了)

この日の「写楽」では、白エビ、寒ブリ、かにみそなど、この時期ならではのにぎりが10貫、どどーんと勢ぞろい。サス(カジキマグロ)の昆布締めなど、富山ならでは味も楽しめて大満足だ。寒ブリは今シーズンは出足が遅かったそうだが、冬の厳しくなるに連れて脂が乗って最高! 至福の味わいに心も満腹になった。
店主の浅野剛さんは「富山には豊かな食文化があります。白エビは特にデリケートで、手慣れた浜のおばあちゃんたちが手早く処理してくれてとどけてくれます。ぜひ富山に来て、地元のおいしいものを食べてほしいですね」と話していた。

四季を感じさせる寿司で定評がある

 

越中八尾で町歩き
「おわら」とパスポートでおもてなし

北陸らしい海の幸を堪能したところで、富山駅へ戻り、高山本線で越中八尾へ。晴れた日は雪の立山連峰が車窓に広がるというローカル列車に揺られて旅情が一気に盛り上がる。

越中八尾は「おわら風の盆」で知られる町。駅から少し離れた街道沿いには、江戸時代から続く町人文化を今に伝える懐かしい町並みが今も美しい姿で残る。町に伝わる民謡「越中おわら節」は300年の歴史があり、気高さの中に、胡弓の響きがどことなく哀愁を感じさせる。毎年9月には数千のぼんぼりの明かりのもと、演奏に合わせ、そろいの法被や浴衣を身に着けた踊り子が夜通し踊り明かす「おわら風の盆」には多くの観光客が訪れる。

情緒ある古い家屋が並ぶ上新町通り

「越中八尾観光会館(曳山展示館)」では、祭りの時期以外でも土日祝を中心に、11支部ある保存会のメンバーが交代で踊りを特別ステージとして実演。三味線と胡弓がに叙情豊かに響き合い、笠を深くかぶった踊り手の上品で控え目な所作が、とても奥ゆかしく、情感を持って心に迫る。

曳山展示館では「おわら」の実演が楽しめる

この日に演奏と踊りを披露してくれた皆さんは「新型コロナで祭りが2年連続中止になり残念ですが、稽古を続けて伝統を守ろうと頑張っています。町に暮らす普通の人たちが歴史の担い手なので、私たちの誇りを感じてもらえればうれしいです」ととても元気で、見る私たちが力をもらった。

八尾おもてなしパスポートでは和菓子などのうれしいプレゼントも

八尾では富山市内に宿泊する人に無料配布されている「八尾おもてなしパスポート」が3月31日(木)まで利用可。クーポンには曳山展示館の無料入館券が含まれており特別ステージが見られるほか、和菓子などとの引き換え券も付いている。

 

高岡で「すずがみ」作り体験
壮麗な御車山に伝統美と地域の誇り

重要伝統的建造物群保存地区に指定されている高岡・山町筋の町並み

暮らしの中に奥深い伝統美が息づく北陸をもっと知ろうと、次は高岡へ。富山で在来線の「あいの風とやま鉄道」に乗り換え、約20分で着いた。高岡は加賀前田家二代目当主・前田利長が築いた城下町。高岡駅から徒歩約10分の山町筋には土蔵造りの町家が並び、伝統工芸・高岡鋳物発祥地の金屋町にも古い家並みが残る。

高岡の鋳物は巧みな技術とセンスを生かし、日用的でありながら、装飾に富み、鑑賞性が高いのが特色。今でも海外にも広く輸出される北陸の工芸品の代表選手の一つだ。そんな自慢の伝統工芸に親しめる「すずがみ」作りが体験できると聞いて挑戦。すずがみは、折り紙のように薄い錫(すず)の板を金づりで叩いて形を仕上げていくもので、高岡御車山会館などで開講している。大人1人4,000円(6人以上、7日前までに要予約)。

錫(すず)の薄板を金づちで叩く「すずがみ作り体験」

この日は手ほどきしてくれたのは、伝統工芸士の島谷好徳さん。明治42年から続くシマタニ昇龍工房の4代目で、寺院で使う「おりん」をはじめ、手打ち鍛造している。

最初に手本を見た後、見よう見まねで錫の板をトントン、コンコン。金づちの先には模様が入っており、叩くたびに銀色の錫板の表面に模様が刻まれていく。ただし思うように模様が入らず、悪戦苦闘。島谷さんが「あまり力を入れすぎず、体の重心を使うと良いとですよ」との優しいアドバイスに従って、体勢を直し、力加減を変えると、打つごとに表面の輝きが増し、30分ほどで、自分だけの1枚を仕上げることができた。「すずがみは、技とセンスで自由に作れるのが楽しい。北陸の伝統工芸に気軽にふれてもらえればうれしいですね」と島谷さん。

「北陸の伝統工芸を伝えたい」と話す島谷さん

体験後は、高岡御車山会館を見学。高岡御車山は1588年に豊臣秀吉が後陽成天皇を京都の聚楽第に迎える際に使用した御所車を加賀藩が拝領し、前田利長が1609年の高岡築城に合わせて町民に与えたのが始まり。金工、染工、染織などの優れた工芸技術の粋を集めた華やかな山車と祭りは、国の重要無形民俗文化財・有形民俗文化財に指定されている。展示館には市内に7基ある御車山のうち1基を交代で常設展示。華やかで繊細な飾りや彫り物を随所に散りばめた壮麗な姿は、ため息が出る美しさだ。

壮麗な御車山を間近に見ることができる

毎年5月1日の高岡關野神社春季例大祭(高岡御車山祭)では御車山が市内を巡行する。この祭りも2年続けて中止となっていて、会館を案内してくれた女性は、今年はぜひ開催を祈りたいと静かに語ってくれた。町の人たちの思いの込もった華麗な祭りを楽しみに、春に再訪したくなる富山の旅だった。

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「Japanese Beauty Hokuriku」キャンペーン
3月31日(木)まで開催中

スマホでデジタルスタンプラリーも

JR西日本では「Japanese Beauty Hikuriku」キャンペーンに合わせ、JR西日本公式アプリ「WESTER」を使った「デジタルスタンプラリー」を3月31日(木)まで開催中。北陸3県の5つの美にまつわる対象施設への訪問や、食事・体験・宿泊などでスタンプをゲット。スタンプ獲得数に応じて、北陸ならではの食や伝統工芸品が当たるチャンスがある。北陸3県をすべて周遊してスタンプを集めると、当選確率が5倍になる。

京阪神から北陸への旅行には、「北陸乗り放題きっぷ」がおトクで便利。特急「サンダーバード」の往復普通車指定席またはグリーン車指定席と、北陸フリーエリア内3日間乗り放題(北陸新幹線・特急・普通列車自由席)がセットになって、大人1人あたり普通車指定席利用の場合、大阪市内発着15,850円(子ども一律3,000円)など。2人以上利用で前日までに購入。

記事で紹介した各企画やきっぷについて、詳しくは「JRおでかけネット」へ。
https://www.jr-odekake.net/navi/hokuriku-w7/jbh/

 

 

 

 




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