日本の美は、北陸にあり!?【福井編】
食材生かす「料理番」のランチ 御食国を「ものづくり」が育む

JR西日本と、富山・石川・福井の3県でつくる北陸三県誘客促進連携協議会は、早春の北陸の魅力を発信する「Japanese Beauty Hokuriku」キャンペーンを3月31日(木)まで開催している。「日本の美は、北陸にあり。」をテーマに、美食、美観、美技、美湯、美心の5つの美をキーワードに、北陸らしい旅の魅力が実感できる企画を各地で用意している。感染症対策を取りながら、観光客を温かく迎えようと力を注ぐ地元関係者のコメントとともに、富山、石川、福井の3回に分けて紹介する。

 

白壁の蔵が繁栄伝える越前・武生
「天皇の料理番」を称えるランチ堪能

武生駅からも近い「おりょうり京町 萬谷」

朝から楽しんだ金沢を後に、特急で約1時間。次は福井県の武生(たけふ)駅に着いた。武生駅がある越前市は、奈良時代に越前国の国府が置かれ、政治、文化、経済の中心として栄えた町。織田信長に仕えた前田利家が城を築くなど、北陸では一目置かれる歴史・文化豊かなところだ。

駅正面からまっすぐ伸びる街路を歩くと、すぐに伝統的な建物が並ぶ「蔵の辻」にあたる。関西と北陸を結ぶ物資の中継地として栄えた通りで、白壁の蔵を抱える昔ながらの町家が石畳に沿って連なり、往時の繁栄を今に伝える。

「秋山徳蔵トリビュートセレクション」は越前が誇るカトラリーで楽しむ

そんな武生でいま話題を呼んでいるのが、「蔵の辻」からほど近い料亭「おりょうり京町 萬谷」。大正から昭和にかけて「天皇の料理番」として活躍した秋山徳蔵が越前市出身であることにちなみ、同氏の一番弟子・谷部金次郎氏が監修した料理を味わうことができるのだ。「秋山徳蔵トリビュートセレクション」と名付けた料理は、ランチ(4,735円)があり、いずれも福井の厳然食材を使った自信作が食通をうならせている。

越前懐石ごま豆腐の先付、越前名産の甘エビを使ったおから饅頭、焼いた合鴨を出汁を含ませて炊き上げた合鴨ロースなど4品がそろう前菜からスタート。合鴨ロースは「素晴らしい食材を活かしきる」という秋山の精神をふまえ、冷めてもおいしく食べられるように仕上がっている。続く温物は越前の旬が詰まったがんもどき。福井では煮物が好まれ、普段の食卓にもがんもどきや昆布巻きが多く登場するという。

武生の北隣・鯖江にあった連隊で出されたという「元帥風ヒレカツ」

メインは「元帥風ヒレカツ」。秋山氏のレシピを参考にして、カツの衣にトリュフを混ぜて揚げている。そして、この洋食をさらに引き立てるのが、テーブルに添えられたカトラリー。伝統工芸の越前打刃物の技が用いられており、ステーキナイフは切れ味が抜群。サクッと口当たりが良く、頬張るとトリュフが香り立ち、笑顔がこぼれた。

「福井の食の魅力を伝えたい」と話す萬谷常務

締めくくりは福井名物の「鯖寿司」。福井ではサバ1本を串に刺して炭火で炙って焼き上げる「へしこ」が名高く、生姜醤油とよく合い、おいしく平らげた。同店・常務取締役の萬谷知士さんは「秋山氏は越前打刃物があってこそ、ナイフとフォークを使う洋食に目覚めたと聞いています。料理一つひとつに込められた物語をしっかりお伝えしていきたい」と挨拶。福井県は若狭地方を中心に、古来、朝廷に食材を献上した「御食国(みけつくに)」とも呼ばれるが、なるほど、豊かな食はやはり町の産業や文化ともつながって初めて生まれるのだ。

 

「越前打刃物」は海外から熱視線
若い力が光るタケフナイフビレッジ

山里に三角屋根が印象的なタケフナイフビレッジの新館

 

館内では物販も行われている

越前打刃物の世界がもっと知りたくなり、市郊外にあるタケフナイフビレッジを訪ねた。13の刃物会社による共同工房で、1979年に刃物産地として全国で最初に伝統的工芸品の指定を受けた越前打刃物を、鍛冶や研ぎ職人が実際に製造している様子を間近に見ることができる。越前市には指定箇所間を1区間500円で移動できる定額タクシー制度があり、公共バスがない場所も気軽に行ける。

越前打刃物の伝統を今に受け継ぐ製品は海外でも人気
真っ赤な鋼を打つ様子が見られる

越前打刃物は、約700年前、京都の刀匠「千代鶴国安」が名剣を鍛える水を求める旅の途中、この地に留まり刀剣をつくる一方、近隣農民のために、鎌も製作するようになったのが起源とされる。以来、武生は農業用刃物の一大産地となり、明治時代には全国の鎌の4分の1以上を生産するまで隆盛を極めた。戦後、機械化が進んで廃業する家族経営の鎌鍛冶屋が続出する中、1991年に当時後継者として従事していた若手が中心になって協同組合を設立。93年から稼働した共同工房に続き、2020年には三角形を組み合わせた斬新なデザインの新館をオープンさせるなど、その活動は広く注目されている。

火花を上げながら刃を研ぐ様子は迫力満点

火花を上げ、キーンと高い金属音を立てながら、研磨されていく刃物たち。寡黙に働く職人たちの姿に、凛々しさと、日本のものづくりの底力を感じる。「二枚広げ」や「廻し鋼着け」など独特の製法で高く評価される越前打刃物。中には数年待ちの商品もあるそうで、ナイフや包丁などが産地ならではの価格で購入もできるのもうれしい。タケフナイフビレッジ協同組合事務局長の笠島道代さんは「今では出荷の半数が海外になり、作っても作っても間に合わないうれしい状況です。教え合って技術を高めている若い職人たちの姿をぜひ見ていただきたい」と誘う。

 

恐竜の福井駅は新幹線に向け変身中
名物「おろしそば」を駅前で食べ歩き

北陸新幹線の駅舎が姿を見せ始めた福井駅

北陸3県の旅の締めくくりは県都・福井市へ。福井駅はいま2年後に迫った北陸新幹線延伸を見込んで、再開発の真っただ中。駅西口駅前広場には恐竜の動くモニュメントなどが設置されたほか、壁面も恐竜イラストでラッピングして、「恐竜王国福井」のPRに躍起になっている。駅東口では新幹線を迎える新駅舎の外観が既にお目見え。新幹線ムードは高まる一方だ。

食べ歩きが楽しめる「おろしそば」

そんな駅周辺で福井の郷土料理「おろしそば」がおトクに食べられると聞いて、駅前のハピリンモールへ。1階総合受付で販売する「福井県産そば食べ歩きクーポン」は、福井駅から徒歩圏内にあるそば処5店舗で使える300円割引券4枚がセットされて800円というお値打ちクーポンだ。早速クーポン片手に、モール2階の福井市観光物産館 福福館の「福福茶屋」に入り、「越前おろしそば」(並、649円)を注文。野趣豊かな腰のある冷たい二八蕎麦を、大根おろしと鰹節とともに、出汁で味わうシンプルな郷土料理だが、店ごとに味わいが微妙に異なるといい、確かに食べ歩きしたくなる納得のうまさだ。

夕暮れの福井駅西口では恐竜がお見送り

お腹も膨れたところで、福井駅から帰路へ。大阪までは約2時間。道中、車窓に目をやると在来線に沿って北陸新幹線の高架が延び、2024年春とされる敦賀までの延伸開業が近づいているのを実感した。新幹線が敦賀までつながると、大阪と金沢の間は今より30分近く短縮され、北陸がさらに近い存在になる。感染症対策を進めながらも将来を見据え、おもてなしの心を磨き続ける北陸の人たちの前向きな気持ちに心が温かくなった。

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「Japanese Beauty Hokuriku」キャンペーン
3月31日(木)まで開催中
スマホでデジタルスタンプラリーも

JR西日本では「Japanese Beauty Hokuriku」キャンペーンに合わせ、JR西日本公式アプリ「WESTER」を使った「デジタルスタンプラリー」を3月31日(木)まで開催中。北陸3県の5つの美にまつわる対象施設への訪問や、食事・体験・宿泊などでスタンプをゲット。スタンプ獲得数に応じて、北陸ならではの食や伝統工芸品が当たるチャンスがある。北陸3県をすべて周遊してスタンプを集めると、当選確率が5倍になる。

京阪神から北陸への旅行には、「北陸乗り放題きっぷ」がおトクで便利。特急「サンダーバード」の往復普通車指定席またはグリーン車指定席と、北陸フリーエリア内3日間乗り放題(北陸新幹線・特急・普通列車自由席)がセットになって、大人1人あたり普通車指定席利用の場合、大阪市内発着15,850円(子ども一律3,000円)など。2人以上利用で前日までに購入。

記事で紹介した各企画やきっぷについて、詳しくは「JRおでかけネット」へ。
https://www.jr-odekake.net/navi/hokuriku-w7/jbh/

 




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