箕面へ貸し切り列車でGO! 市・観光協会・阪急交通社が連携
「北急延伸現場」など新旧スポットを160人が周遊

大阪梅田から阪急電車の貸し切り列車で箕面へ出かけ、魅力あるスポットを半日で巡る特別ツアーが2月11日に催行された。箕面市と箕面市観光協会、阪急交通社の共同企画。約160人が4グループに分かれ、同市が誇る観光名所や新施設をバスやウオーキングなどで周遊し、早春の休日を楽しんだ。

「1便限定 阪急貸切列車で行く とっておきの箕面に出逢う旅」を題した特別ツアー。市と市観光協会、阪急交通社が連携し、箕面の観光事業を盛り上げるための実証事業として、国の地方創生推進交付金も活用して実現した。市観光協会は商業者、交通事業者、有識者、寺社、行政など市内の関係者による公民連携箕面観光戦略会議を昨年発足し、観光振興の指針づくりに取り組んできた。今回のツアーは、紅葉シーズンに集中しがちな観光客の分散を図ろうと閑散期の2月に設定。渋滞緩和につながる公共交通機関の利用促進を目的に阪急電車を梅田から貸し切り運行し、この日開幕した箕面大滝や滝道のライトアップを行程に組み込んで、課題だった滞在時間の延長にもつながるように工夫した。

「GO! GO! Minoh!」と記されたヘッドマークを付けた1便限定の阪急貸し切り列車

貸し切り列車は13時15分に大阪梅田駅を出発。この日だけの特別列車とあって、運行を知った鉄道ファンもホームに数多く詰めかけ、「GO! GO! Minoh!」のオリジナルヘッドマークを付けた4両編成の列車を熱心にカメラに収めていた。車内に乗り込むとこのツアー限りの飾りつけがお出迎え。バレンタインデーが近いことにちなみ、どれもハート型をあしらった愛らしいデザインで、参加者はさっそく表情を緩めていた。

車内はツアー限定の飾り付けで演出

出発後は同乗したタッキー816みのおエフエムのパーソナリティーの車内放送によるおもてなしが始まった。箕面のPRキャラクター「滝ノ道ゆずる」にちなんだ「ゆずるが行く『たきのみち音頭』など、案内とともに車内放送から流れてくる箕面ゆかりの音楽に耳を傾けた。電車は石橋阪大前駅を通過。箕面線に入り、大阪梅田から約30分で箕面駅に滑り込んだ。ホームでは箕面市青少年吹奏楽団が2曲を演奏して歓迎。サプライズの企画に参加者は驚いた様子で、フレッシュな演奏に聞き入っていた。

箕面駅では箕面市青少年吹奏楽団がサプライズ演奏で参加者を出迎えた

箕面駅からは事前に選んだプラン別に4グループに分かれて、ツアーが進んだ。

Aプランは世界的コンテストで何度も金賞を受賞しているブリュワリーを訪ねる「冬季限定箕面ビール工場見学&試飲プラン」。Bプランは来年度末に開業予定の新駅工事現場を見られる「100年の時を経て、電車が走るまち・箕面~北大阪急行延伸現場見学プラン」、Cプランは勝ち運で有名な勝尾寺を参詣する「勝ちダルマ絵付け体験付き開運スポット巡りプラン」、Dプランは良縁の寺として知られる西江寺と大正時代建築の料亭・音羽山荘を巡る「良縁成就!明治ロマン溢れる滝道でレトロデート!プラン」。どれも多数の申し込みがあったという。

工事が進む北大阪急行の箕面船場阪大前駅では北急の担当者が丁寧に進捗状況を説明した

Bプランに同行した。箕面駅から貸し切りバスに乗り換え、約15分で北大阪急行の箕面船場阪大前駅の工事現場に到着。北急の担当者の案内で、工事用の出入り口から地下1階のコンコースを経て、さらに地下3階のホームヘ降りた。「この駅は1日1万7千人の乗降が見込まれています。開業に向けて安全に十分に配慮して工事を進めているところです」と担当者が説明。あちこちに足場が組まれる中、階段やホームの形状はほぼ出来上がり、来年度末の開業が近づいている様子が見て取れた。

線路に降りてレールを間近に体感できる一幕もあった

線路に目を落とすと、既にレールが敷かれ、トンネルの先へまっすぐ延びている。「今日は特別に線路に降りてもらってもいいですよ」と担当者。参加者はうれしそうに階段を降り、真新しいレールや床に触れたり、車両に電気を供給する設備を興味深そうに見たりして、貴重な体験を楽しんでいた。

地上駅となる箕面萱野駅への移動では阪急交通社のラッピングバスが一役買った

続いて一行は延伸区間の終着駅となる箕面萱野駅にバスで移動。こちらは地上駅で、みのおキューズモールと隣接。駅前にはバスターミナルが整備され、北摂地域の新しい交通拠点になることが期待されている。参加者は担当者の案内で改札口が予定されるスペースを抜けて駅構内へ。階段を上がってホームの南端に向かうと視界が開け、先ほど見てきた箕面船場阪大前駅がある丘陵や箕面の街並みが一望。参加者は発着する列車の姿を想像しながら、盛んにシャッターを切っていた。

箕面萱野駅では周囲の眺望やバリアフリーの駅造りを見学した

「ホーム北端にはキューズモール方面へ出られる改札口が造られます。平面で移動でき、バリアフリーに配慮したご利用いただきやすい駅をめざしています」と担当者が説明。参加者は利用者の目線に立った各種取り組みに感心した様子で、参加者同士で記念写真を撮るなどして目に焼き付けていた。

箕面大滝ではダイナミックな滝の迫力を堪能した

ツアーの後半は4コース共通。バスまたは徒歩で箕面大滝を目指し、大滝から20分ほど滝道を歩いて下った瀧安寺前広場で現地解散となった。阪急箕面駅から箕面大滝にかけてのエリアでは、この日から「箕面の森 Winterプロムナード」が開幕。3月12日(日)まで箕面大滝などがフルカラーLEDでライトアップされており、ツアーが催行された11日には瀧安寺前広場でオープニングイベントとして、バレンタインコンサートやイルミネーションが開催されていた。参加者は落差33メートルもある大滝の迫力ある姿を堪能した後、寒空ながらも所々に春の息吹を感じる滝道をウオーキング。広場ではジャズや演奏やポップスの歌声に耳を傾け、日没後に始まったプロジェクションマッピングを鑑賞していた。

瀧安寺前広場ではバレンタインコンサートの演奏などを楽しんだ

京都市からBコースに参加した大学生(20)は「鉄道が好きで北大阪急行の見学プランに参加しましたが、地元の方が案内してくれて、箕面の良いところもたくさん知ることができました。また仲間で来てみたいです」と満足そうに声を弾ませていた。

瀧安寺では四季をテーマにプロジェクションマッピングが投影され、夜空に紅葉が浮かび上がった

阪急箕面駅で参加者を出迎え、瀧安寺前広場でのイベントにも参加した箕面市の上島一彦市長は「オールシーズン、いつ来てもワクワクする箕面の魅力を多くの人に感じていただけたらうれしいです。公共交通の利用を促進し、環境負荷も低減できる観光のあり方を市民とともに探っていきたい」と話していた。




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