海から山へ 人気観光地をおもてなしで結ぶ
「四国まんなか千年ものがたり」が運行5周年

瀬戸内国際芸術祭2022が開催中の香川・多度津と、徳島・大歩危(おおぼけ)を結ぶJR四国の観光列車「四国まんなか千年ものがたり」が今年で運行開始から5周年を迎えた。穏やかな讃岐平野から吉野川周辺に広がる日本屈指の渓谷へ。人気の観光ルートを紹介します。

列車で「おとなの遊山」
四季を感じる空間と美味

桃の節句になると、弁当を持って近くの山へ出かけて一日を過ごす「遊山(ゆさん)」を楽しんでいたという徳島。「四国まんなか千年ものがたり」は日常を離れて、「おとなの遊山」をのんびり列車で楽しんでもらおうと誕生した。

車両ごとに四季をイメージしてデザインされた「四国まんなか千年ものがたり」

「日本のたたずまい」がコンセプトの3両編成は、木をふんだんに使ったインテリアが古民家を思わせて心温まる雰囲気。低い位置からの照明は、トンネルに入る度に幻想的な空間を生み出す。1号車は「春萌(はるあかり)の章」、2号車は「夏清(なつすがし)の章」「冬清(ふゆすがし)の章」、3号車は「秋彩(あきみのり)の章」。豊かな自然と四季を感じる趣向が凝らされている。

木が温かい雰囲気を醸し出す車内

大歩危から多度津へ向かう「しあわせの郷(さと)紀行」では、地元食材にこだわった料理や甘味を三段重の弁当箱に詰めた「おとなの遊山箱」(5100円)が好評。例えば夏は鮎(あゆ)などの魚介類から山の幸、国産牛ステーキなど多彩で、おいしさはもちろん、見た目も箸運びも楽しい。逆方向の「そらの郷紀行」では「さぬきこだわり食材の洋風料理」(5600円)を提供する。

「おとなの遊山箱」は三段重で提供される

沿線住民によるおもてなしも拡大。6月に累計乗客数が7万人を突破したのは、36のトンネル、146の橋梁(きょうりょう)を渡るという変化に富んだ車窓とともに、停車駅ごとにホームで物産販売や記念撮影があるなど、地元と一体となった取り組みも原動力だ。※運賃・料金は多度津~大歩危:片道・大人1人4000円。紹介した食事は要予約。

 

自然の驚異「大歩危小歩危」
落人伝説の秘境「祖谷」へ

吉野川の激流によってつくられた渓谷が約8キロにわたって続く「大歩危小歩危(こぼけ)」。駅近くから観光遊覧船に乗って奇岩や巨岩を間近に眺めると、2億年にも及ぶ大自然の迫力に圧倒される。

大歩危では渓谷美を生かした「三好ジオパーク構想」が進む

大歩危から車で約30分の深い山あいに架かるのが「祖谷(いや)のかずら橋」。長さ45メートル、幅2メートル。踏み板のすき間からは約14メートル下の川面が丸見えで、こちらもスリル満点だ。近くには落人伝説を今に伝える平家屋敷が急斜面にへばりつくように立ち、周囲には温泉宿も豊富。これから秋に向けて、日本三大秘境と言われる祖谷(三好市)は色づく山々とともに最も美しい季節を迎える。

深い谷に架かる「祖谷のかずら橋」は山里風情とスリル満点



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