源頼朝公像 天下治平の功績を後世に
樹齢800年 お手植えの「杉」で彫像

まもなく迎える2023年。このお正月も多くの参拝客でにぎわいそうなのが神奈川県鎌倉市の鶴岡八幡宮だ。武家文化の起点ともなった由緒ある鶴岡八幡宮での奉納に向けて、約800年前に源頼朝が手植えしたと伝わる頼朝杉を使って彫像した「源頼朝公像」が話題を集めている。

頼朝杉で彫像された源頼朝公像

頼朝杉は千葉山智満寺(静岡県島田市)の境内にあった推定樹齢800年の大木。樹高約36メートルにも及び、国天然記念物に指定されながらも、2012年に豪雨で倒木していた。天下治平の大願成就を頼朝が植えたとされ、人々の生き方に寄り添ってきた頼朝杉を心豊かな未来へ紡ぐシンボルとして受け継ぎたい。名木の調査と活用を推進する銘木総研(大阪市北区)がそんな思いに共感し、関係者とプロジェクト委員会を立ち上げ、頼朝杉による頼朝像を彫像を進めた。

今年10月に京都市内で完成披露。頼朝像は高さ1メートル10センチ、幅1メートル47センチ、袍(ほう)と呼ばれる黒い上着とはかま姿で、しゃくを持って座り、征夷大将軍となった頃の堂々した頼朝が再現されている。日本の仏教美術を代表する江里康慧氏が製作。京都・神護寺、山梨・甲斐善光寺、東京国立博物館に伝わる頼朝像3体を独自に調査・研究し、神々しさにあふれる新たな頼朝像が生まれた。

製作の経緯を話す江里康慧仏師

像が納まる厨子(ずし)は截金師の江里朋子氏が担当。像と同じ頼朝杉が使われ、正面と両脇の扉の内側には伊豆の風景が数枚焼き合わせた金箔の細かな細工で描かれている。装束は京都で老舗装束店を営む装束司の黒田幸也氏が手がけ、位の高さを表した強(こわ)装束で、格式高い輪無唐草(わなしからくさ)の文様などが施された。

お披露目会には製作に関わった関係者が顔をそろえ、江里康慧氏は「頼朝杉を使うと聞いて大変緊張しました。苦難の後、大願を果たした頼朝の人生を通して、現代の人に勇気を感じてもらえたら」と感想を話した。銘木総研代表取締役でプロジェクト委員会事務局長の前井宏之氏は「変化の激しい時代にあって、武士の世を開いた源頼朝には感じるところが多い。頼朝杉は姿を変えて生き続けます。頼朝の功績を後世に長く伝えていくことができれば幸いです」と期待を込めた。

頼朝杉活用の意義を話す銘木総研の前井宏之代表取締役

「源頼朝公像」は静岡県伊豆の国市の韮山文化センター、東京都江東区の東京ビッグサイトでの公開を経て、12月23日~25日には頼朝杉があった静岡県島田市の島田市博物館で里帰り展示が実現した。鶴岡八幡宮への奉納時期は検討中で、「鎌倉殿」の行方は新年も注目されることになりそうだ。




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