小笠原望のドキュメンタリー映画「四万十~いのちの仕舞い~」 トークショー

 地域で在宅医療に取り組む小笠原望先生の日々を追ったドキュメンタリー映画「四万十~いのちの仕舞い~」(溝渕雅幸監督作品 製作・配給:ディンギーズ)が1月27日から全国の劇場で公開された。大阪では2月10日から第七藝術劇場で公開、12日の上映後には小笠原さんと溝渕監督のトークショーが開かれた。
 当日は小笠原さんの顔を一目見ようと訪れた多くの人で早々に立ち見を含めて満席になり、100人近くが会場に入れないほどの盛況だった。映画で音楽を担当したギタリスト・ザビエル大村さんがタイトルロールで流れた「南風」を演奏した後、2人が登場。映画の制作秘話やそれぞれの思いを語り合った。
 溝渕監督は「映画では編集していますが、登場したある患者さんは1回の訪問で最低60分はしゃべります。これを先生は毎回じっと聴くんです。患者さんは聴いてもらっているうちに、どんどん元気になっていきました。この人にだったら話せると思えると、患者さんはどんな風にしんどいか、どうしたいか、話すようになります。そんな風に言葉を発してもらえる、聴く力を持った医師も、世の中には必要だと思います。嫌な患者さんもも含めて、相手を丸ごと受け入れる人間力を、先生を取材して感じました」などと話した。
 小笠原さんは「どんなに整った医療施設でも自然には勝てません。自然が患者さんも家族も、四万十川沿いの道をたどって訪問する僕も、癒やしてくれます。それが柔らかいやり取りになるんですね」「在宅医療をしていて思うのは、自宅にはモルヒネ、つまり痛み止めが流れているということ。病院で痛みがあって食べられなかった患者さんが、自宅に帰ると食べて、痛みが消えて、最後の日まで家族と話せる、ということがよくあります」「在宅医療は科学ではなく文学。言葉や言葉のやり取りを大事にしています。中学の時から親しんでいる川柳のおかげかな」などと話した。最後は、ザビエル大村さんの伴奏で、小笠原さんが映画にも挿入された歌「赤とんぼ」を披露し、参加者も唱和した。
 トークショー終了後は、アサヒ・ファミリー・ニュース社が企画・編集したエッセー「診療所の窓辺から」などのサイン会も開かれ、大勢が列を作った。
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 映画は「受け継がれるいのち」がテーマ。地域・在宅医療に取り組む小笠原先生に、溝渕監督が約1年間密着して完成した。描かれるのは、四万十川の美しい自然を背景にした、患者さんと小笠原先生の〝ありのまま〟の診療の日々。いのちの営み、いのちの看取り。様々なシーンが丹念に収められている。エッセーからにじみ出る優しさ、〝患者さん第一〟の医療姿勢を物語るシーンも、たくさん切り取られている。

 映画は全国で公開中。今後も各地でトークショーや舞台あいさつが予定されている。詳細はHPで。
https://www.inochi-shimanto.com/




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