今秋解体の神戸市役所 巨大アートで飾る ~③街に、アート理解と支援の習慣を~ 

 今秋の解体が予定されている神戸市役所2号館の外壁に巨大なアートを描き、建物の花道を飾ろうと、民間団体「Kobe Mural Art Project(神戸ミューラルアートプロジェクト)」が取り組みを進めている。アーティストへの対価をはじめ、制作に必要な資金をクラウドファンディングサイトで3月31日(火)まで募集している。(3回連載の最終回)

 

秋田大介さん(左)と岡本絵美里さん

 神戸市役所2号館のミューラルアートは、3月31日のクラウドファンディング終了後、4月下旬から制作を始め、5月3日の完成を目指す。このほど、南北両面のアートを描く2組のアーティストが決定した。南側の壁面はブラジル・サンパウロ生まれのチチフリークさん、北側は夫婦で活動するHITOTZUKI(ヒトツキ)さんだ。

 神戸ミューラルアートプロジェクトのディレクターを務めるPOW!WOW!JAPANの岡本絵美里さんは、アーティストの選定理由についてこう話す。「チチフリークさんの祖父母は、神戸から笠戸丸に乗船してブラジルに移住したということで、神戸とは歴史的なかかわりがあります。また彼は、東日本大震災で被災した石巻で、仮設住宅にミューラルアートを描きながら住民とコミュニケーションを図る復興支援プロジェクトも行っていました。壁面の南側には、震災で被災した方々の思いが集まる東遊園地があります。南壁のミューラルアートを描くのに、ふさわしいアーティストだと感じています」。「KAMIさんとSASUさんの夫婦で活動するHITOTZUKIさんはブルーを強調した作風で、国内外にファンも多いアーティスト。港町・神戸の壁を飾るにふさわしいと思います。また壁面の隣には、今は移設されていますが神戸のシンボル『花時計』がありました。花をモチーフにした作品でも知られるHITOTZUKIさんなら、きっと素晴らしい作品を描いてくれます」

 

■「みんなでアーティストを育てられる街にしたい」

 神戸市役所2号館のミューラルアートは5月に完成するが、秋には解体が決まっている。どんなアートを描いてもらうか? そのキーワードについて、秋田さんは「『解体されること』を前向きにとらえるテーマにしたいですね。障壁を壊す、ブレークスルーして新しいところへ進む、といったメッセージを込めたものにしたい」と話す。「市のメインストリート(フラワーロード)に面し、JR三ノ宮駅のホームからも見えます。注目されるでしょうし、今後は市内各所の建物オーナーから『私の建物の壁にも書きたい』という反響があるでしょう。その時、アーティストにこれだけ対価を払った、という実績があればそれが対価の基準となり、アーティストを育てる神戸の土壌が豊かになると思います」

返礼品のオリジナルTシャツを手に

 完成後は市庁舎内でのお別れメッセージの落書きイベントや、ミューラルアートへの理解を深めるカンファレンスなどを予定。建物内で「ペイント弾」を撃ち合い、庁舎の花道をにぎやかに飾る参加型のイベントも考えているという。なお、クラウドファンディング支援の返礼品は、ペイント弾撃ち合いイベントの参加権や、オリジナルのTシャツなど様々。4月下旬からのミューラルアート制作の現場は公開され「大人も子どもも、みんなで楽しめるアートができるその過程を現地で感じつつ、アーティストを応援しにきてほしい」と秋田さん、岡本さんは口をそろえる。

 二人をはじめプロジェクトメンバーに共通するのは、「神戸にミューラルアートを増やし、みんなでアーティストを育てる街にしたい」の思いだ。岡本さんは「神戸市役所の壁面に素晴らしいアートができる予感がしている。それは支援してくれるみなさんのおかげ。『そこに貢献した』と、胸を張って言ってもらえるはずです」。秋田さんは「このプロジェクトは、アートを理解し、評価・支援する習慣を、神戸で広めるその第一歩。今後も第二弾、第三弾とプロジェクトを仕掛けていきたい」と意気込んでいる。(連載終わり=担当・伊藤真弘)

【Kobe Mural Art Project クラウドファンディングサイトはこちら】

https://camp-fire.jp/projects/view/222104




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