ポスター1枚に心意気、読み手が元気になる言葉の力

緊急事態宣言が発令されて、静かな街。ついつい下を向いて歩きがちだ。しかし、顔をあげて見てほしい。商店主の自粛の「ポスター1枚」に添えられたひと言。心が癒やされ、よし頑張ろうと励まされる。〝言葉の持つ力〟を改めて感じ、私たち記者も言葉の力を信じて、情報を発信したい。街の心意気ある張り紙を紹介する。

早々に掲出した店主の決意
「自分たちで、共にがんばろう」の想いがにじむ

最近引越しをしてやってきた街。初めて行った店で、とても気持ちの良い接客を受け、味も価格も満足だった。もしランチ営業していたら…と立ち寄ると、こんな張り紙があった。

「拡大を止めるのは自分たちです」に強い覚悟を感じる。緊急事態宣言が4/21に出されたが、この店はそれより前に店主が営業自粛を決めていたそうだ。

地元で自分の店を、一生懸命やってきた人の「休業の言葉」は重い。
そして、共にがんばろうと呼びかける、結びの言葉が心に響く。

お客さまへの気持ちがぎゅっと詰まった
小さな黒板の言葉選び

記者は関東から最近、移転してきた。「関西どうですか?」と聞かれる度に「商人さんの言葉選びがバツグン。接客されると心地よいです」と答えている。

例えば、この黒板。「ゲストハウスと食堂」の店前に出されていた。

まずはいつもの利用に「感謝の言葉」。防ぐという自主的な気持ちから「休業させていただく」という謙虚な姿勢。そして「また会いたい」という想い。全部が優しく伝わる。

「緊急事態宣言を受けて自粛します」とシンプルに書くのもありだろう。しかし、手のひらに載る黒板の中に、店主の経営姿勢が伺えて、「またオープンしたら立ち寄ろう」と思わずにはいられない。

メトロのメッセージに大いに励まされる
即行動できる、職場環境を想像した

大きな組織になればなるほど、格式張った掲示や張り紙しか作れなくなるものだ。しかし、大阪メトロは違うのかもしれない。4月1日に張り出されたこの1枚に励まされた人はきっと多いだはずだ。

新たなる旅立ちを迎えられたみなさまへ
~新年度から新たな気持ちで旅立ちを迎えるみなさまにおかれましては、まだまだ先がみえず不安を抱えておられることと思います。~夢に向かって歩み続けてください。その姿は、きっと誰かが見守っています。雲の向こうは、いつも青空!

前日まではなかったのだから、きっと誰かの提案で、きっと職場の協力で、実行されたのだと思う。大きな組織でこれをやってのけるのはすごい。

ついでに加えると、桜が満開を迎える頃にはこんな掲示もあって、ほっこりさせられた。「少しお楽しみください」というのがミソ。

このポスターも前向きで、見るとぎゅっと拳を一緒に突き出したくなる。

お互いを思いやる言葉を小さくとも発信し続ける
きっと誰かが励まされている

最後にこの手紙を紹介したい。お好み焼きの人気店「冨紗家(ふさや) 本店」の店頭に貼り出されている。

俳優の竹中直人さんからの、ノートに書かれた1枚の手紙。竹中さんは掲出されるとは思っていなかったかもしれない。でも、受け取ったお店の方は街の皆さんにエールを伝えるのにふさわしいと感じ、張り出したのだろう。

受け取った言葉を繋いで、みんなでこの状況を乗り越えたい。(丸)




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