感染リスク減らし“いつもの”距離感で奏でた「ベガ・ホール×宮川彬良とアンサンブル・ベガ~こんな時でも いつものコンサート~」

7月13日宝塚ベガ・ホールで「ベガ・ホール×宮川彬良とアンサンブル・ベガ~こんな時でも いつものコンサート~」が行われ、昼夜2公演に約300人の市民が駆け付けた。(演奏中の写真はおふぃすベガ提供)

【宮川彬良&アンサンブル・ベガ】1998年、阪神・淡路大震災からの心の復興を願って宝塚ベガ・ホールを拠点に誕生。音楽監督・作編曲・ピアノ・トークを担当する作曲家の宮川彬良と、彼が絶大な信頼を寄せるオーケストラの首席プレーヤーたちによる珠玉の演奏家集団。「9人なのにオーケストラの音がする!」と人気を集め、全国各地で200回以上の演奏会を開いてきた。第1ヴァイオリン:辻井淳(元京都市交響楽団コンサートマスター、神戸女学院大学准教授)、第2ヴァイオリン:日比浩一(名古屋フィルハーモニー交響楽団コンサートマスター、名古屋芸術大学教授)、ヴィオラ:馬渕昌子(紀尾井ホール室内管弦楽団、トウキョウ・ミタカ・フィルハーモニア<首席>、ヴィルタス・クヮルテット)、チェロ:近藤浩志(大阪フィルハーモニー交響楽団チェロ・トップ奏者)、コントラバス:新眞二(元大阪フィルハーモニー交響楽団コントラバス・トップ奏者、鳥取県文化芸術アドバイザー、石巻市芸術文化振興財団芸術アドバイザー)、クラリネット:鈴木豊人(元紀尾井ホール室内管弦楽団)、ファゴット:星野則雄(関西フィルハーモニー管弦楽団首席ファゴット奏者)、ホルン:池田重一(元大阪フィルハーモニー交響楽団ホルン・トップ奏者、大阪音楽大学教授)

新型コロナウイルスの影響で3月以降、同ホールも臨時休館と公演中止が続き、ホールを拠点に生まれた宮川彬良&アンサンブル・ベガが今年10月18日に予定していた恒例のコンサートも来年度に延期されていた。演奏機会が失われているメンバーとおふぃすベガは「感染予防を徹底して、広く市民に生演奏を届けたい」と、宝塚市文化財団に今回の公演を提案。財団は6月24日に急きょ無料開催を決めた。通常372席のホール定員を150人にして昼夜2公演を設定。事前申し込みには708人から応募があった。

各地でオーケストラ公演の再開に向けて、奏者間の距離を保って演奏する試みが広がる中、アンサンブル・ベガは“いつもの”距離感にこだわった。奏者同士の密なる信頼から生まれる彼らの演奏にとって、メンバー間の距離の設定はとても重要な意味を持つからだ。

おふぃすベガの代表でアンサンブル・ベガのリーダーでもある新 眞二さんは次のように説明する。

「アンサンブル・ベガが各地で公演する時、そのホールでの演奏上のベストな位置を探すことからリハーサルを始めます。舞台の床板を前後に 1 枚分動くだけでも大きく響きが変わり、互いの聞こえ方が変わります。どんなふうに公演を再開したらよいのか、誰にも正解がわからない中で、本来のアンサンブル・ベガの演奏をお届けするために、私たちは医療体制を圧迫せず現段階で取り得る感染拡大のリスクを減らす方法を模索しました。出演者9人と運営にかかわるホール職員・スタッフ約30人は抗体検査<ICheckプロジェクト>を2回にわたって受け、陰性を確認して“いつもの”距離のコンサートをすることができました」

 

コンサートの開始を待つ宝塚ベガ・ホールの舞台には“いつもの”距離に設営された椅子が並んでいた=2020年7月13日撮影

演奏は「すみれの花咲く部屋(アンサンブル・ベガのテーマ)」(F.デーレ/宮川彬良)に始まり、アキラさん(宮川彬良)のトークをはさんでテーマごとに進んだ。(余談だが、すみれの花咲く……といえば、兵庫県立芸術文化センターの佐渡裕芸術監督が呼びかけて400以上の動画投稿があった「HPACすみれの花咲く頃プロジェクト」でPACが演奏した楽譜は、かつてアキラさんがPACのために編曲したものだったそうだ。音楽の輪がつながっていることがうれしい!)

ピアノの前から移動してマイクを持ったアキラさんが話し始める。「昨日、清荒神を散歩して改めて気づいたのですが、ベガ・ホールのある辺りは結構森の中なんですね」。そんなトークを入り口に、自然や森をテーマに演奏されたのは、スイング感が楽しいH.ヤンコフスキー「森を歩こう」と誰もが歌詞を知っているH.ワーク「大きな古時計」。

トークは古時計のおじいさんの話から人間・家族に移り、アメリカに招かれていたA.ドヴォルザークが故郷のチェコに戻った時に作曲した「ユーモレスク」をクラリネットの鈴木さんをフューチャーした演奏で披露。ドヴォルザークが家族や故郷と再会して感じたであろう郷愁が、人肌のぬくもりに包み込まれるような音色で奏でられ、ひときわ心にしみた。続くビートルズ「抱きしめたい」はおなじみのナンバー。軽快に進む中にいつの間にかモーツァルトの旋律が紛れ込む。アキラさんの遊び心に思わずほおが緩む。

大きな拍手を浴びた宮川彬良&アンサンブル・ベガ(写真提供:おふぃすベガ)

最後はかつて手塚治虫記念館を訪れてインスピレーションを得たアキラさん自身が作曲し、このホールで2000年に初演された室内楽のためのソナタ「ブラック・ジャック」。ドラマチックに始まる1楽章「血と、汗と、涙と…」、静かなメロディーに乗せて祈りが広がる2楽章「命」、再びドラマチックに展開する3楽章「生きて息て生きる」を披露。息の合ったフィナーレの後、ひと呼吸おいて大きな拍手が沸き起こった。

アンコールは2曲。「風のオリヴァストロ」(“オリーブ色の風”の意)と再びビートルズナンバーで「P.S.アイ・ラヴ・ユー」。演奏終盤、ヴィオラの馬渕さんが第1ヴァイオリンの辻井さんとしっかりアイコンタクトを取った瞬間を目に焼き付けた。(大田季子)

 

このコンサートの模様は7月20日(月)公開予定で、おふぃすベガ Youtube チャンネルで配信されるほか、下記のテレビ番組でも紹介される。https://www.youtube.com/user/officevega

 

■J:COM(放送エリア 宝塚市、川西市、三田市、猪名川町)

『特別番組 宮川彬良とアンサンブル・ベガ特別公演~TAKARAZUKA に響くアンサンブル(仮)』(30 分)

8/15 (土)22:00~22:30

8/16 (日)18:00~18:30

 

■NHK 総合(兵庫県域)『Live Love ひょうご』(月~金 18:30~19:00)

7月21日(火)放送予定 https://www4.nhk.or.jp/P5588/




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