「Cutting Edge KYOGEN 2023」 8/26 兵庫芸文センター
茂山逸平・千之丞「どこまでも楽しい舞台に」

400年以上の歴史を誇る京都・茂山千五郎家が、狂言の古典的な手法に現代的な表現と笑いのセンスを組み合わせて贈る「Cutting Edge KYOGEN(カッティング・エッジ・キョウゲン)2023 真夏の狂言大作戦」が8月26日(土)、兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール(阪急西宮北口)で上演される。

Cutting Edge  KYOGEN(CEK)は京都・大蔵流の茂山千五郎家の当主・千五郎を筆頭に、宗彦、茂、逸平、千之丞の5人によるユニットで、「脂が乗った5人で最先端の狂言を目指そう」と2020年に結成された。活動開始直後にコロナ禍に見舞われたが、同年の初演では数々の制約を逆手に取ったシンプルな作りの舞台で狂言の可能性を広げ、21年の公演に続く昨年は全国7カ所を巡演。骨の髄まで染み込んだ伝統の狂言技法を駆使しつつ、本物の演技を知る者だからこそできる柔軟で自由な芸が多くの人に親しまれている。

「夏の一日を一緒に楽しみましょう」と話す茂山逸平(右)と茂山千之丞=8月、兵庫県立芸術文化センターで

4年目となる今回はテーマに落語を取り上げた。

前半は「犬の目」を宗彦と千之丞、「二人粗忽(粗忽長屋)」を宗彦、千之丞、千五郎がそれぞれ届ける。「犬の目」は両目を患った男と、男を月見に誘う男の二人の話。「二人粗忽(粗忽長屋)」は同じ長屋に暮らすそそっかしい二人のおかしな顛末が描かれる。どこか怪しい雰囲気も漂う古典落語をエッジが効かせたどんな味つけで楽しませてくれるか注目だ。逸平は「能舞台ではできないことにずっと挑戦してきました。抽象的な演出プランを共同作業で舞台に作り上げていくのが楽しい」と新作への期待を膨らませる。

後半は12年に京都で上演された「たちぎれ線香」が2023年バージョンとして装い新たに兵庫に初登場する。「たちぎれ線香」は上方落語の代表作の一つ。商家の若旦那と恋人の芸者の悲しい恋物語を逸平、千五郎、茂を主軸に全員総出で舞台をにぎわせる。千之丞は「落語では自分とは異世界にいる愛する人への切ない思いがテーマだけど、そのまままっすぐ話を進ませないのがCEK。落語の世界観を狂言の立体的な手法を使って、ドラマチックに楽しんでもらいたい」と意気込む。

兵庫県立芸術文化センターと茂山狂言との関わりは深い。開館翌年の2006年から20年を除く毎年「春爛漫 茂山狂言会」を開催。12年からは茂山千五郎家の若手ユニットによる「HANAGATA」が加わり、毎年完売の人気公演に育った。16年に千五郎、18年に千之丞が襲名。千五郎家の中核を担う充実期を迎える中、19年に「HANAGATA」は卒業、20年「Cutting Edge KYOGEN」に衣替えした。逸平は「芸術文化センターは僕たちのホームグラウンド。この夏の自由研究の成果を楽しんでいただきたい」と意欲を見せる。千之丞は「毎年おもしろいこと以外は考えていません。狂言が初めての人も関係なく、夏の一日を楽しむ気持ちでお越しいただければ」と話していた。

8月26日(土)11時30分開演、15時30分開演の2回公演。A席3,500円、B席2,000円(全席指定)。問い合わせは℡0798・68・0255、芸術文化センターチケットオフィスへ(10~17時、月曜休み)。

 




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